袖すり合うも多生の縁<19>

    「ところで オスカル」
    ふっとアントワネットの顔が緩み ニコニコ人懐っこい顔をした。
    「あなたとアンドレはどうなっているの」
    うっと オスカルは言葉に詰まる。 
    「もう長いのでしょう いつ 結婚なさるの?」
    「結婚どころか 女とすら あいつは見てくれていません」
    「あら?そうかしら」
    「ええ 今まで散々 あの手この手でアプローチしてきましたが 
    何にも気づいてはくれません。
    最近では故意に気づいていない振りをしているのではないかと…」
    そう言ってため息をつくオスカルは いままで見たことが無いくらい 人間らしかった。

    そんなオスカルがアントワネットには何故か嬉しい。
    「オスカル。どんなアプローチをしたの?」
    うっまたもオスカルは返事に困った。とても姫様に申しあげられるようなことではない。
    「その… まぁ色々でございます。」
    目をそらし 顔を赤らめるオスカルが とても可愛くて 
    アントワネットは暗い気分がすっかり晴れていった。

    「くすっ オスカルは意外と 奥手なのね。」
    「なっ 何をおしゃいます!」
    「あなたが 思っているほど 
    あなたのアプローチはアンドレに届いていないのかも知れなくてよ。
    ここははっきり言わないといけないのかもしれないわ。」
    「しっしかし…」
    「このままでいいの。彼も本当はあなたの気持ちを知りたがっているかも」
    「いいえ そうではないでしょう。」
    オスカルの顔が暗くなる。
    「あいつにとって わたしは妹のようなものなのかもしれません。
    だからそう言う目でみれないのでしょう」
    「なら、なおさら はっきり 言わなくては。あなたは妹ではないのだと。
    そうして、一人の女性として見てもらうのよ。」
    「一人の女性として?」
    「今のままで 居心地はいいかもしれないけれど あなたはもっと彼と近づきたいのでしょう?
    いつか誰かが彼と結ばれるのはいやなのでしょう?」
    「アンドレが 誰かと?」
    「あら、考えたことがなかったの?
    このままなら 彼はいつでも恋人をつくって結婚出来てしまうのよ」
    オスカルは 背筋が凍る思いがした。

    「わたしは オスカルに幸せになってもらいたいわ。
    だって わたくしの大事なお友達なのですもの」
    「アントワネット様」
    「いいでしょ オスカル お友達になって。」
    「身に余る光栄にございます。」
    「違うわ オスカル。"いいよ。"でしょ」
    少し 照れ笑いしながら オスカルは答えた。
    「いいよ お友達になろう」
    その答えにアントワネットは満足気に笑った。
    「嬉しいわ。本当のことを言うとね。
    わたくし初等部の頃からあなたとお友達になりたかったのよ。」
    「わたしをご存じだったのですか?」
    「あら、あなたを知らない方がめずらしいわよ。」
    アントワネットはクスッと笑う。
    「残念だけれど 同じクラスになれなかったのよね。
    そのうちあなたは転校してしまって、皆哀しがっていたわ。」
    オスカルは少し頬を赤らめる。
    「あなたがわたくしの護衛になってくれた時はどんなに嬉しかったか。
    ああだけどなかなかこんなふうにお話するきっかけがつかめなくて。
    あなたからこうして切り出してもらえるなんて思いもしなかった。」
    アントワネットはオスカルの手を取った。
    「これからは 女同士 何でも話せるようになりましょうね。」

    "アントワネット様にはかなわない"

    オスカルは困りながらも そんな姫様が大好きなのだと改めて思う。
    いつも笑っていてほしい方なのだ。

    "女同士"

    さすがに 姫様に対して まったく対等な態度を取るわけにはいかないが 
    ここまで言っていただけるのはやはり嬉しい。
    これからもお傍でお支え出来ればとオスカルは思う。

    今日はアントワネット様を励まして差し上げたいと思って参上した。
    ロンドンでアフタヌーンティーを食べながら 
    アンドレと話したことを オスカルは帰国後も考えていた。
    身分違いの恋は上手く行くのだろうかと 愛だけで乗り越えられるものなのかと。
    けれど このままではアントワネットさまは間違いなく不幸だ。
    フェルゼンがこの国にまで 姫を追いかけてくるほど愛してくれているのなら 
    その愛にかける方がいいのではないだろうか。そう考えたのだ。

    だが 女同士の会話は思わぬ展開になった。
    まさか自分の事が話題になるとは予想していなかった。

    "アンドレが 誰かと 結婚する?"

    自室に戻り アントワネットさまに言われた言葉を反芻する。
    考えたことがないわけではない。
    彼がモテるのも知っている。けれどいままで 誰ひとりとして彼が応じた相手はいなかった。
    だから なんとなく アンドレは女の子に興味が無いような気がしていたのだ。
    ついこの間までは。

    (つづく)
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    ジュエリー絵画®「ベルサイユのばら」

    元タカラジェンヌによるランチファッションショーが開催されます。

    http://www.kanko-takarazuka.jp/event/img/2015-05s.pdf

    宝塚ホテルの美味しいランチを楽しみながら、総額2億円以上の宝石を身に付けた
    元タカラジェンヌによるファッションショーをご覧いただけるイベントです。

    日  時:平成28年(2016年) 2月11日(木・祝) 11時30分~13時30分
    場  所:宝塚ホテル 宝寿の間
    募集人数:200名 (希望者多数の場合は抽選とします。)
    申込期間:平成27年11月11日(水)~平成27年12月11日(金)必着
    参加料金:お一人様 6,000円(宝塚ホテルの美味しいお食事付き )

    このイベントで『ジュエリー絵画®「ベルサイユのばら」一般お披露目会』が行われます。

    「ジュエリー絵画®」は株式会社ジュエリーカミネで販売されている
    宝石を敷き詰めて制作する絵画です。

    今は手塚治虫作品を販売しています。

    http://jewelry-pictures.gallery/

    まだ詳細は分かりませんが 
    おそらく 近いうちに「ベルサイユのばら」も販売になるのでしょう。
    そのお披露目と思われます。

    宝石で作られる「ベルサイユのばら」の世界
    とても 素敵ですね。

    気になるのは やはりお値段
    ちなみにこちらに 手塚治虫作品の値段が載っています。

    http://kaminesz.com/tezuka/

    小さいものは88,000円から 大きいものは6,000,000円まで。
    いやはや、ため息しかでないお値段ですね。

    自分では買えないので 宝塚劇場とかに常設展示してくれたらいいなと思います。

    袖すり合うも多生の縁<18>

    「アントワネット様」
    ドアの外から オスカルの声がした。アントワネットは急いで涙を拭った。
    「お入り」
    「失礼いたします。」

    アントワネットはいつもの優雅な微笑みを浮かべたが その頬に涙の痕があるのが見てとれた。
    「今日は少々 個人的なお話で伺いました。」
    「珍しいわね。どうぞ おかけなさい。」
    オスカルはアントワネットの勧める彼女の向かいの椅子を 座らず持ち上げ 
    アントワネットの横に移動した。

    その距離感にアントワネットはドキドキした。
    オスカルは女であっても その中性的な美貌は間近で見るには あまりにもまぶし過ぎる。

    「姫様、何を塞いでおいでなのです?」
    オスカルはアントワネットの手を取り じっと瞳をみつめる。
    「えっ…あっ… あの…」
    オスカルの幾重にも光を反射するかのような 
    サファイヤの瞳に見つめられては ドギマギしてしまう。

    オスカルはアントワネットの手を自分の胸に当てた。
    「姫様。わたくしは軍人である前に あなたと同じ女でございます。
    よろしければ 苦しい胸の内をお聞かせください。」

    オスカルの胸は 軍服の上からでは見た目分からないが 
    こうして手を当ててみれば やはり 自分と同じように隆起している。

    彼女の手の温かさ 誠実なまなざし。
    しだいにアントワネットの心の壁が崩れていくのを感じた。

    "いつの間に 自分はこんな大きな壁を心の中に作っていたのだろう…"

    「オスカル あなたは プリンセスの役目をどう考えます?」
    唐突に問いかけられても オスカルは動じることなく答えた。
    「人々の模範となり 国民の幸福の為に尽力されることと存じます。」

    "ああ やはり!"

    アントワネットは諦めたように 目を瞑る。
    そのアントワネットの手をオスカルはギュッと握った。
    その感触に驚いて アントワネットは目を開けた。

    「ですから プリンセスは幸せでなければなりません。
    人々が幸せとはなにかを感じられるように。」

    オスカルは手をつないだまま 椅子から立ちアントワネットの前に跪き その顔を見上げた。
    「プリンセスは幸せに微笑んでいて下さらなければ。
    人々を幸福に導くには まずご自身が幸せとはなにかをお知りにならなければ 
    いけないのではありませんか。」
    「オスカル…」
    「おっしゃってください。何がご自身の幸福なのかを。」
    「…わたくしは…」
    アントワネットは苦しそうに目を泳がせている。
    「わ…わたくしは 国民のためのプリンセスでありたいのです。」
    そう言うと 目を伏せた。
    「フェルゼンと 生きたいのだと…なぜ おしゃいませんのか?」
    アントワネットの手がびくんとして オスカルの手から逃れようとした。
    けれど オスカルは放しはしなかった。

    「姫様。そのお志は立派だと思います。
    けれど あなたはプリンセスである前に 一人の人間なのではありませんか。
    傷ついたり 悲しんだり 苦しんだりする 人間なのです。」
    アントワネットの目からポロポロ涙が溢れる。
    「人を愛する心を失くして どうして国民を愛せましょう。」
    「ああ だけど オスカル。どうして 言えましょう。
    もう隣国の王子との縁談は進んでいるのですよ。それに それに…」
    両手で顔を覆って泣き崩れるアントワネットを オスカルはしっかり抱きとめる。

    「それに わたくしは何もできません。フェルゼンのところに行っても、
    他の女性達のように料理や掃除ができるわけではないのです。」
    「フェルゼンはそのような事 何も気にはしないでしょう。そういう男のように思います。」
    優しく背中を撫でながら
    「家事など すぐに覚えられましょう。そんなに難しいことではありません。
    ですが 心から愛せる人とめぐり会うのは それよりはるかに難しい。
    その愛した人に愛を返してもらうのはさらに難しい。」
    「オスカル…」
    「今はプリンセスといえど 自由に生きることの出来る時代なのではありませんか。」
    「…」
    「ご自身の心の声に 耳を閉ざしてはなりません。」

    アントワネットはしばし 目を閉じ考え込んだ。

    わたしの幸せ それは はっきり分かっている。

    それをごまかして 泣いて暮らして それが 何かの為になるのか?

    オスカルの言う様に 人間として 自分自身すら幸せに出来ない者に 
    人々の幸福を築くことなどできはしないのだろう。

    「ありがとう オスカル。あなたの言う通りですね。
    わたくしは自分の人生を人任せにして 戦うことを恐れていました。」
    「アントワネット様」
    「今こそ 自分の真価の問われる時 幸せとは与えられるものではなく
     自分で勝ち取るものなのですから。」
    毅然と輝くアントワネットの笑顔を オスカルはまぶしく見上げた。

    (つづく)

    アニメ版ベルサイユのばら萌え語り(18)歩き始めた人形

    先週の第29話「歩き始めた人形」の 
    始めの方の オスカルが馬でアンドレの前から走り去るシーンを
    初めて見た時 既視感をおぼえました。

    すぐに 落馬事件(第8話)の時のアンドレの夢だと気付いたのですが
    当時はビデオなどなく 確かめようがありませんでした。

    後になって 再放送やVHSなどで確かめるとやはり似ています。
    夢の最初の平手うちは第28話でオスカルに告白した時とかぶり
    白馬に乗って立ち去るオスカルを見送るアンドレのそばには
    夢と同じような円柱が 立ち並んでいます。

    こうなることは もう定められた運命だったとでもいうのでしょうか。
    けれどアンドレは 夢の時のように 
    オスカルに問いかけることはできませんでした。

    自分のしでかしたことを 深く後悔していることを
    2分割された画面の アンドレの表情が語っています。

    ごめんね オスカル 怖かった?

    この2分割された画面にオスカルとアンドレの
    それぞれの顔が出ているシーン

    わたしにとって アニばらで一番萌えるシーンなのです。

    オスカルの顔は始終固まっているのですが
    アンドレの表情の動きはあまりにも雄弁なのです

    彼の内面の複雑な動きをあまりに 生々しく 痛々しく 描き出しています。

    アンドレにとって 目は何より大切なものでした。
    地位も身分も財産もない彼が オスカルにしてあげられる事は
    見守ること それが出来なくなってしまうことは
    自分の存在意義にさえ 関わることなのです。

    そして 眼が見えなくなることへの 不安から
    彼は今までのようにオスカルに接することができなくなってしまいます。

    それがあのもどかしい第25話なのです。
    冒頭 目がかすむ描写が流れ
    さらに剣の稽古もおぼつかない様子が描かれます。

    フェルゼンとの別れ話の後 一人割れたカケラを片付けるオスカル。
    以前のアンドレなら 断られても
    「手伝うよ」
    と進んで彼女によりそい その苦しみを分かつことができたでしょう。

    オスカルがアンドレに泣きながら振り返るその顔は
    傍に来てほしいと言わんばかりです。

    その証拠にオスカルはアンドレの帰りを待っていました。
    ここで オスカルは近衛を辞めると告げますが アンドレは何も言えませんでした。

    アニばらのオスカルは 自分でも言っているように あまのじゃくです。
    本心を自分にさえ誤魔化して 強がったりします。

    今までは アンドレとのやり取りの中で 
    自分はどうすればいいのか 模索してきました。

    今度もフェルゼンとの別れという 大きな精神的痛手を受け
    自分の気持ちの整理や 今後、どうしたらいいのか
    オスカルは 無意識にアンドレに問いかけます。

    アンドレを待っていて その瞳を見つめ 近衛を辞めるとつげたり
    いらただしく 馬を駆り アンドレの横を 走り抜けます。
    さらに厩で 昔話をしながら もう一度前より強く近衛を辞めると話します。

    アニばらのオスカルにしては 自分の気持ちを珍しく沢山語ります。
    それでも アンドレはいつものように 応えてはくれません。

    ただ 目を伏せるだけです。
    以前のアンドレなら 「ライラックはバラにはなれない」を
    少なくとも厩で話をした時には 持ち出していたでしょう。

    そして それに応戦して オスカルが怒鳴ってきて いつものように
    アンドレは自分が感じていること
    「オスカルがオスカルで なくなることなんか できないんだ」と話し
    二人でやり合いながら 答えを見つけることができたはずです。

    しかし アンドレはこの時 自分のことでいっぱいでした。
    とても オスカルの気持ちを受け止め 応えるだけの余裕はありませんでした。

    失明するということは オスカルの傍にいられなくなるということ。
    彼は心の中でオスカルに助けを求めます。
    それは今までいつも助け合って生きてきたアンドレにとって自然な感情でしょう。

    これがもし 子供の頃なら
    「え~ん オスカル 目がみえなくなっちゃうよ」
    と告白できたかもしれません。

    けれど すでに大人の男になったアンドレは
    今苦しんでいるオスカルに甘えることなどできません。

    まして この目の失明の原因を 
    オスカルはきっと自分のせいだと感じることは想像がつきます。
    年老いた祖母にも心配はかけられません。

    いい大人になった男性なら 泣き言を言いたくないと考えてしまうのでしょう。
    そして 特別趣味などがなければ
    ギャンブル 酒 女 などに逃げてしまうのかもしれません。

    アンドレの場合 ギャンブルは好まないようです。
    後に 衛兵隊の隊員が「ついに 一度もカードはやらなかったな」と言っています。
    アントワネットさまやポリニャック夫人をはじめとする 
    貴族達の堕落ぶりを見てきたアンドレは とても賭け事をする気にはなれなかったのでしょう。

    彼はしたたかに 飲むことで 現実から逃れようとあがきます。
    けれど 逃げ切れはしないのです。

    どんどん追いつめられて 極限状態になりつつあった時
    自分の気持ちでいっぱい いっぱい のオスカルはそうとは気づかず
    アンドレに思いをぶつけてしまいます。

    いつものように一緒に答えを探してほしかった。

    いつものように 殴り返すなり 意見を言うなり 

    まるで 鏡のように 自分の心を映す 問いかけをくれるなり してほしかった。

    それなのに アンドレがくれたのは オスカルがもっとも恐れていたものでした。

    愛して しまった…

    アンドレの愛の告白は オスカルにとって 
    心臓を引きちぎられるほどの衝撃だったでしょう。

    絶対に気づいてはならないはずでした。
    アンドレ自身が言っているように 愛してはいけないのに 愛してしまった
    愛がふたりの間に存在してはいけなかったのに。

    これでもう アンドレをそばに置いておけなくなってしまいました。
    告白の前にオスカルは供をしなくてもよい。と言っていますが
    あまのじゃくな彼女は アンドレがきっと そう言っても
    助けてくれると心のどこかで思っていました。

    今までも オスカルはアンドレを突っぱねるような発言を繰り返しています。
    アンドレは使用人なので その言葉に基本従いますが
    大切な時は オスカルの真意をくんで 行動してくれます。

    例えば 決闘騒動の時 付いてこなくていいと言われても付いていきました。
    先に帰れとアンドレに言って 一人フェルゼンに王妃さまの言葉を伝えに言った時
    彼は合羽を持って 迎えに来てくれました。

    サベルヌでは 命令を無視して 
    聞こえるはずのない声を聞いて助け出してくれました。

    今度も アンドレは自ら進んで 供をしてくれるかもしれないし
    供をしなくても アンドレの家はジャルジェ家にしかないのだし
    アニばらのアンドレは 厩番のような仕事もしているので
    供の仕事を辞めても 屋敷内の仕事があるのですから
    どこへも行くはずがないと 思っていたと思います。

    オスカルは通いなので 勤務が終われば 屋敷に帰ります。
    屋敷では アンドレが待っていてくれる。
    そうしたら 一緒に剣の稽古をしたり 話をしたりできる。
    アンドレを失うことはないはずでした。

    けれど 愛されていると はっきりわかった以上
    もはや 彼を引き留めておけなくなりました。
    心臓を裂かれるほどの痛みに耐えきれず
    オスカルは心を失くしたかのように 恐ろしいほどの無表情になります。
    それが あの2分割シーンの顔です。

    フェルゼンと別れた時は泣きながら それでも 心を宿した顔をしていたのに
    この時のオスカルは まるで 人形のようです。

    歩き始めた人形 本来は王宮の飾り人形ではいたくないという意味なのでしょうけれど。

    アンドレを失い 人形になってしまったかのようなオスカル。
    ノルマンディーから帰って アンドレが屋敷にいなくなってしまったのを知っても
    あまり 驚かず むしろ当然と思ったのでしょう。

    そのアンドレを兵舎で見つけ
    彼が苦しまぬよう 遠ざけたのにと オスカルは怒ります。
    けれど 本当はほっとしていました。

    ばあやにアンドレのことを尋ねられているシーンでは 
    とても柔らかな空気が流れます。

    ふふっアンドレのやつ やっぱりな

    こうして なんとか 自分を取り戻し 自分の力で 飾り人形ではなく 
    実のある武官として生きていこうと オスカルは決意も新たに歩き出したのです。

    そしてこの頃から オスカルは目で彼を追うようになります。

    一方、アンドレの方は そう簡単にはいきません。
    話はあの ブラビリの夜に戻ります。

    酒に逃げても 失明の恐怖は消えません。
    時代がどんどん 切迫し 貴族であるオスカルにとって 
    厳しい世の中になるだろうとアンドレは感じていました。

    いまこそ おれがあいつを守ってやらなければならない時なのに。

    必死に なんとかしようともがいているときに
    オスカルは 供をしなくていいと言います。

    平常心の時なら オスカルの真意を察することができたでしょうが
    この時のアンドレにとっては おまえはいらない と
    言われたような気がしたのではないでしょうか。

    傍に居られなくなる アンドレは何かが壊れかけてしまいました。
    そして ここ最近感じていたことを話します。
    オスカルはいきりたち 殴りかかってきますが
    もはや アンドレは愛する女性をかつてのように殴ることはできませんでした。

    代わりに 苦しげに張りつめている オスカルを抱いてあげたい。
    そして 自分も愛する女性の胸で 慰められたい。

    大人になった男性であれば 女性を抱き そして自分も抱くことで 
    癒されたいと感じることは 当然な感情。

    娼婦を買って 自分を慰める男性も多いでしょう。
    アニばらのアンドレは真面目なので きっとそんなことはしないでしょうが。

    眼の前で 愛する女性が苦しんでいる。
    そっと 抱き寄せ 自分の中に守り隠してあげたい。
    愛しているんだ。こんなにも。

    そして おれの感じている恐怖も消し去ってほしい。
    おまえが おれの手の中にあれば なにも怖くない。

    怖いのは 失明そのものよりも おまえを守れなくなることだから。

    そんな思いも 彼の目の事も 知らぬオスカルはひたすら逃げようとし
    それを無理に抱こうとしてもみ合ううち オスカルの衣服は音を立てて破れてしまいます。

    その音でアンドレは 我に返り オスカルは泣き出してしまいます。
    オスカルの涙で アンドレは自分が何をしてしまったのか気づきます。

    愛を確かめあった者どうしでなければ 抱きあう行為が本当の癒しになることはないのです。
    彼は我慢していた涙をあふれさせ 部屋を後にします。

    この後 オスカルはアンドレを避け始めます。
    それでも アンドレはオスカルを守りたいと願い続けますが
    何の力もなく 失明するかもしれない彼は その手段を完全に断たれたように感じ
    またも 酒におぼれます。

    その彼に一筋の光がさします。
    衛兵隊の一員となり オスカルを守ろうするアンドレですが
    それは あまりに過酷な日々の始まりでもありました。

    今日の放送は第30話「おまえは光俺は影」

    http://www9.nhk.or.jp/anime/versailles/

    二人の男性はそれぞれ真剣にオスカルを愛していました。
    それも ずっと長い間。

    またそれとは別の種類の愛を 父ジャルジェ将軍も長い間娘に注いでいたのです。

    ベルサイユのばら365日幸せノート

    「ベルサイユのばら365日幸せノート」を購入しました。

    大きさはこれくらいです。

    P1020564.jpg

    「パワーアンビシャス」の商品案内に
    詳しい内容が分かりやすく載っていました。

    http://www.power-ambitious.co.jp/products/detail.php?product_id=221

    1マスの大きさが程よく 数行もしくはひとことでも 
    なんとなく埋まった感じになるのが嬉しいですね。
    これなら ズボラな私でも続けられそうです。

    毎日 付いてる一言もシャレが効いてていいですね。

    書くネタがない日でも「今日の質問」に答えたり 
    満足度を星で表すことによって なにかしら書くヒントが得られそうです。

    実はこのノート、曜日が入っていないのです。
    これによって 何年からでも いつからでも 始めることが出来ます。

    例えば 今日からなら、11月24日のページに『火』と記入して始めればいいわけです。

    で、気になったのが 2月29日 この日は4年に一度しかありませんが 
    万年使えるのであれば当然あるべきですよね。
    でも、そうすると「365日ノート」ではなく「366日ノート」になります。

    そこで見てみました。

    P1020558.jpg

    何と 二日で1マスになっていました。

    う~ん、これはどうですかね。
    この日が特別な記念日の方もいらっしゃると思うので できれば分けてほしいところです。

    ちなみに来年2016年は2月29日があります。

    「ベルサイユのばら」のノートなので 各日、イラストがついています。
    これは ストーリー順になっているので 「ベルサイユのばら」のおさらいが出来ます。

    ですが そのために大切な「ベルばら」的記念日が生かされない結果となってしまいました。

    例えば「三が日」

    P1020561.jpg

    オスカルさまの命日がブイエ将軍では何とも哀しいものがあります。

    このノートは「右開き」です。コミックと同じですね。
    中のイラストが縦書きなのでそれに合わせたのでしょう。

    けれど 日付が横書きでマスも横長なので 
    自然と横書きで書くようになると思います。
    そうなると「左開き」の方が 使いやすいのではないかと思いました。

    カラーページですが 描き下ろしはありませんでした。
    8Pもあったので 期待していたのですが。

    贅沢をいえば「スピン」(しおりになる紐)もついていると嬉しいですね。

    結構 文句を言ってしまいましたが 全体としてはとても気に入っています。
    曜日フリーの何年度でも使えるノートではありますが、
    来年さらに改善されて また 新たに発行していただけたらと思います。

    今まで日記を書いて長く続いた、ためしのない青林ですが これなら頑張れそうです。
    ちなみにわたしは 2016年1月1日から始めようと思っています。
    もし、続いていたら 来年の大晦日にご報告しますね。
    それまで このブログがあればですが(笑)

    袖すり合うも多生の縁<17>

    屋敷はもう静まり返っていた。
    裏口からそっと屋内に入ると 足音を忍ばせて オスカルの部屋に入った。 
    2間続きの部屋の奥の寝室をそっと開けると 
    常夜燈のほの暗いオレンジの灯りに オスカルが寝ている姿が浮かび上がっていた。

    傍に寄り そっとその顔を覗き込む。深い眠りだ。よほど疲れていたのだろう。
    掛布からはみ出して落ちかけていた足をそっと 中に戻して 子どもみたいだと思った。

    小さい頃はよく おれのベッドに潜り込んできて おれをこの足に蹴りだしたものだ。

    アンドレはオスカルに心の中でおやすみとつぶやいて 自分の部屋に戻った。
    疲れているはずなのに 眠る気になれない。さっき見た病院の光景が頭に浮かんで。

    ロザリーと病院に戻ると まだベルナールは寝ていた。
    ロザリーを彼のそばに置いて 自分は食料やティッシュなどを買いにコンビニに行った。

    戻ってくると ロザリーがべッドに横たわるベルナールに抱き寄せられているのが見えた。
    そっと 買い物袋を室内に置くと アンドレは何も言わず 帰ってきたのだ。

    翌日、オスカルはアンドレを見るなり ベルナールや病院の様子を尋ねた。
    アンドレは変に隠したりせず 見たままを 話してやった。

    「それとね オスカル ロザリーなんだが」
    「ロザリーがどうかしたのか?」
    アンドレはいたずらな目をした。それは彼がとびきり楽しい秘密を打ち明ける時の癖だ。

    アントワネットは悶々としていた。
    テロ事件があったあの日から。

    あの時、自分が死んでしまうのだと思った時 
    本当に自分が望んでいることがはっきり分かった。
    今まで 王族として プリンセスとして 
    持って生まれた責務を果たさなければと思って頑張ってきた。

    そうしなければ なにかとんでもない不幸が襲い掛かってくるような気がしていた。

    やりがいもあった。国民が喜んでくれるのも 自分を愛してくれるのも 幸せであった。
    皆に褒められ 尊敬され 何もかも上手くいっているそう感じられた。

    けれど…

    何かが 満たされない。

    それがなにか はっきり わかってしまった。
    そうすると 全てが色あせてしまった。何もやる気にはなれない。
    人々の賞賛も プリンセスの名誉も 何もかもが 無意味にすら感じられてしまう。

    そうして 気が付けば 彼を思い涙を流してばかりいる。

    「このまま あなたをさらってしまいたい」
    フェルゼンにあのまま さらわれてしまいたかった。
    けれど それではきっと 彼の身に大きな災厄が降りかかるだろう。

    フェルゼンはまだ この国にいるのだろうか。

    いてくれているのだろうか。

    (つづく)

    袖すり合うも多生の縁<16>

    「ロザリー おれはビートルズが好きなんだけどね。テイラー・スウィフトも好きなんだ。」
    何の話?ロザリーはアンドレの肩に頭を預けて静かに聞いた。

    「『ラブストーリー』のPVを見た時は もう感情移入しちゃって わんわん泣いちゃったよ」
    ロザリーはクスッと笑った。アンドレならいかにもありそう。その光景は簡単に想像できた。
    「わたしもそれ知ってる。 ロミオとジュリエットをなぞらえたのでしょう。
    そう言えばどことなく雰囲気があなたとオスカルさまみたいね。」

    「ロザリー おれは君が好きだよ。酷い女なんて思えない。」
    ピクリ・・・とロザリーが何か言いかけたが言わせず 彼女の肩を強く抱いて言葉を続けた。

    「ベルナールも アランも 好きだ。みんな みんな 好きだ。」
    そして 静かに囁くように言った。

    「そして オスカルに対する想いは その好きとは違う。」

    ロザリーが目を閉じる。
    「わたしもそう オスカルさまは特別…」

    「違うよ。ロザリー それは本当の恋じゃない」
    それまで凭れ掛かっていたロザリーが 勢いよく体を起こして抗議した。
    「あなたに 何が分かるのよ!わたしの想いは本物よ!」
    「いや、違う。じゃあ 何故 おれに『オスカルさまは無事なの?』って聞かないんだい?」

    はっとロザリーの目が大きくなる。
    「それは…」
    「それは ただの好きだからさ。王宮で まして王族を狙ったテロなら 
    オスカルの安否が真っ先に気になるはずじゃないか」
    アンドレの声は静かで優しい。
    「けれど それどころじゃなかったんだろ。
    君の 君の特別なベルナールが大けがをしていたんだから」

    ロザリーは何も言えないでいる。確かに今の今まで そのことに思い当らなかった。
    「好きなものは沢山あったっていいんだよ。むしろその方が人生が楽しいじゃないか。」

    ロザリーの頭をよしよし 撫でて
    「いい加減 気づけよ。本当の恋に。
    そんなに沢山泣いて 一晩中寝ないで付き添う相手が 特別じゃないのかい?」
    「でも わたし いまさら どんな顔して…
    今まで散々 オスカルさま オスカルさまって 追いかけて そんな急に心変わりなんて…」
    「心変わりじゃないさ 沢山の好きの一番がオスカルなんだよ。
    けれど ベルナールと 一緒にいるうちに 
    だんだん 彼のことは"誰とも比べることが出来ない好き"になったんだ。」
    「誰とも比べることが出来ない好き?」
    「そう 本当の恋だよ。」

    ロザリーは不思議な既視感を感じた。
    前にも こんな優しい人が 自分に言ってくれたことがあるような気がする。

    "そして いつか だれかほかの男と ほんとうの恋をして…"

    その人もアンドレみたいに 大きくて温かい人だった気がする。

    「ロザリー 病院に戻ろう。ベルナールが起きた時 真っ先に会いたいのは君だからね。」
    「うーん でも気まずいわ」
    「簡単だよ。彼にキスして 
    『心が張り裂けるくらい 心配したんだから!』って言ってやればいい。
    それから ずっと彼が欲しかった言葉をかけてやってほしい」
    ロザリーの顔がみるみる赤くなる。

    それを笑ってはいけないと思うのだが つい口の端があがってしまう。
    「行くよ ロザリー シートベルトを締めて」
    エンジンを回して ギアを入れる。車が静かに動き出す。
    カーステレオのスイッチを入れると 
    テイラー・スウィフトの『シェイク・イット・オフ』が流れた。

    (つづく)

    アニメ版ベルサイユのばら萌え語り(17)アンドレ青いレモン

    先週は言わずと知れた 神回アンドレ 青いレモンでしたね。
    これについて語りたいのですが 今回は
    雰囲気台無しになる恐れがありますので ご注意ください。

    アントワネットさまの
    「ジョゼフ王子が助かるなら フェルゼンと会わないと誓っても構わない」
    という告白を聞いて 立ち去るフェルゼンの背中が

    ”わたしと会うのはやはり罪だと感じておられるのだな。
    そしてわたしより ルイ16世陛下とのお子が大事なのだな。
    まっ当然か 母であれば。そんなアントワネットさまだからこそ愛したのだ”

    と語っているように見えました。

    その後 オスカルに会いに来るわけですが 
    ここであの貴婦人がオスカルであることを 半ば強引に確かめたわけです。
    そして追いかける。

    さあ、いけー!フェルゼン

    実は初めて見た時は まだ最後まで原作を読んでいなかったので 

    これは オスカル チャンス!

    と思ったのです。
    フェルゼンは実りのない愛に見切りをつけ 
    自分を愛してくれる女性を求めてきたのだから 
    ここでオスカルが 優しく癒してあげたら恋愛成就だと。

    ところが何を考えてか オスカル 
    フェルゼンにみなまで言わせず 自分からケリつけちゃって…

    なんですとー!バカ バカ バカ

    もともと 一時的に気弱になっただけだったような フェルゼン
    あっさり 帰っちゃいました。

    で、オスカル 割れちゃったグラスを片付けるわけですが 
    アンドレ ノコノコやってきて

    「手伝おうか?」

    違うだろ!おまえは召使なんだから おれがやりますでしょうが!

    でも、振り返ったオスカルの顔

    なっなんか やさしい…

    オスカルの「いや…いい・・・」の言葉を真に受けて
    アンドレ飲みに行っちゃいました。

    この 大バカ野郎 今こそ優しくして 彼女の心を掴まんかい!

    こんな大事な時に なに朝帰りしてるんだか。もじもじ先を見ていると
    なんとオスカル 起きて待ってた♡
    見つめ合うふたり ドキドキ

    そうなのね。だからフェルゼンにさよならなのね。

    思えば前回 べルナールにアンドレのこと言っていたオスカルはちょっと雰囲気が…
    なのに ここでもアンドレのバカはスルーしちゃってくれたのです。

    馬小屋のシーンで幼い日に想いを馳せる二人を見て感じました。

    そうか…だからフェルゼンから逃げてここに来たんだ

    馬小屋って きっと幼い日からの 二人の想い出がいっぱいあって 
    オスカルにとっては アンドレがいるところみたいな気持ちがあったのかもしれない。 
    第1話でも アンドレと馬小屋にいて ジャルジェ将軍に殴られていたし 
    オスカルを思って アンドレが馬小屋で寝込んでいたこともあった。
    なのにここでもアンドレ スルー 

    さてさて いよいよラスト お部屋にお茶を運びます。
    可愛い顔してアンドレに「ありがとう」を言うオスカル。

    良い感じじゃないですか。

    でも ここでアンドレやらかします。

    なにやってくれちゃってんの!!!!!

    原作読んでからみれば 納得の内容なのですが 
    知らずに見ると何とも もどかしくてのたうってしまうシーンの連続なのでした。

    原作のこのシーンでも 
    オスカルさま 涙にじませて甘え顔なんだから もっと優しくしてあげたら
    そのまま恋愛成就しちゃったのかも
    なんて思ってしまうのでした。

    大人になった今ならこのもどかしさもいいのよ♡なんて思えますが 
    当時お子さまだったわたしには 髪かきむしるようなじれったい回だったのです。

    今日の放送は第29話「歩き始めた人形」

    http://www9.nhk.or.jp/anime/versailles/

    この回の朝日の中 お茶を召し上がるオスカルが 
    とても優しげで女らしいと見るたび思います。

    袖すり合うも多生の縁<15>

    フランスで大変大きなテロ事件が発生しました。
    当ブログで連載中の作品には テロ行為が出ていますが
    内容がテロを美化するものではないということと
    過剰に反応しないということが テロに屈しないという事につながると考えますので 
    このまま連載を続けさせていただきます。

    犠牲者の方々のご冥福をお祈りするとともに
    人類が互いを傷つけあうような 愚かな行為を止める時が
    一秒でも早くおとずれるよう願っています。




    病院は満床状態であった。
    ベルナールの部屋を探しながら歩いていると 向こうから見慣れた人影が走ってきた。
    下を向いているので アンドレに気付いていないようだ。
    アンドレは小声でも届くくらいに近づいてから 声をかけた。
    「ロザリー」
    けれどロザリーは彼の横を通りぬけようとした。

    そのただならぬ様子にアンドレは彼女の腕を掴んだ。
    「どうした?ベルナールになにかあったのか?」
    ロザリーは溢れだした涙で波立つ大きな目をアンドレに向けた。

    そしてその目を閉じて 床に座り込んでしまった。アンドレの胸に恐ろしい予感が走る。
    「おいで ロザリーここではジャマになるから」
    アンドレは彼女を担ぐように 元来た道を引き返した。

    とりあえず 車に乗せ 薄手のタオルをロザリーに手渡した。
    「鼻かんでいいからね…」
    「ありがとう」
    そういうと ロザリーは本当に チーンと鼻をかんだ。

    車を発進させ川べりの人気のない場所まで走った。
    車を止めると 後部座席のクーラーボックスから 
    冷たいジュースとアイスコーヒーの缶を取り出し、
    ジュースを彼女に渡して、自分はコーヒーを開けた。

    暫くロザリーは泣きじゃくっていた。
    アンドレは何も言わず 組んだ腕をハンドルに預け 秋の虫の声に耳を傾けていた。

    「ごめんなさい アンドレ」
    ぽつり ぽつり ロザリーが話し始めた。
    「別にね ベルナールが死んじゃったわけじゃないのよ」
    この言葉に アンドレはほっと息を付いた。

    「あ…あのね… わたし…」
    アンドレがロザリーを見る。
    「わたし ベルナールが怪我をしたって聞いて 急いで駆け付けたの。
    怖かった 本当に怖かった。運ばれてくる人の中には
    もう死んじゃってるんじゃないかってくらい 血まみれの人もいたし」

    アンドレはロザリーの手からジュース缶を取ると フタを開けて彼女に返した。
    「ありがとう」
    それを一口飲んで ロザリーは続けた。
    「やっとの想いでベルナールを見つけると 彼は全身包帯にまかれて 意識がなかった。
    顔にも大きな絆創膏が貼られていたわ。
    わたしは 彼の横でどうすることも出来なくて 
    ただ ただ 一晩中、座り込んでいるしかなかった。

    ずっと気を失ったかのように眠っていたベルナールが『うっ』と苦しそうな声を出したから、
    目が覚めたのかと彼の顔を覗き込んで 彼の手を握ったの。
    そしたら うっすら目が開いて…」
    ロザリーは片手を上げて 口元を押さえた。 呼吸を整えるように手を胸に当てる。

    「その時ね、ベルナールがとっても優しい顔で微笑んで
    『母さん、迎えにきてくれたの?でも おれまだ逝きたくないんだ。好きな子がいるんだ。
    その子はおれじゃない 別なやつが好きなんだけどね。
    それでもいろいろ世話をしてくれるんだ。
    その子におれの気持ちとお礼を言ってからでないと…』
    そう言ってわたしの手を握りながら また、眠ってしまったわ。」

    ロザリーの涙は止まって かわりにいつも年より幼く見えるその顔に 
    深い懺悔の表情が表れた。

    それは とても 美しかった。

    「わたしは 酷い女だわ。ずっとベルナールをいい様に利用したのよ。
    彼がわたしに好意を持ってくれているのをわかっていて 答えをはぐらかして じらして 
    自分が都合のいい様に甘えられる状況をつくろうとしていた。」

    彼女の止まっていた涙が またツーっと一筋 頬を伝った。
    「あんなに 優しい彼を いつまでも利用し続けるために 
    自分に夢中になるように振る舞っていたのよ。
    いつわりの優しさで 彼の世話をして 彼の好物を作り続けて…」

    ロザリーの顔に怒りの表情が浮かぶ。
    「お礼なんか 言ってもらえるような人間じゃないのよ。彼の傍にいて良いわけない。
    わたしなんか わたしなんか 最低だわ!!!」

    両手で持ったタオルの中に顔を隠すと ロザリーは声を上げて泣き出した。
    アンドレはその肩を引き寄せ 自分にもたれ掛けさせた。

    (つづく)

    One Night Event “Shall we Coat”

    アクアスキュータムから素敵なプレゼントです。

    元宝塚トップスター壮一帆 さんとミモレ編集長/スタイリスト大草直子さんの
    一夜限りのスペシャルイベント! “Shall we Coat”に抽選で70名様無料ご招待です。

    http://www.renown.co.jp/LoveandTrench/information/index.php?pageno=151109

    当日は壮一帆さんを迎えてのスペシャルトークセッションや
    アクアスキュータムのコートが当たる抽選会など盛り沢山。

    さらに美味しいお酒も楽しめちゃいます。

    ただ、締切まで時間がありません。
    応募締め切りは2015年11月19日(木)です!!

    参加希望の方は急いで応募してくださいね。
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