天使のくれた七日間ー4-

    市民の善意と隊員達の家族からの差し入れの夕食が済むと 
    それぞれ適当な場所で寝る支度を始めた。
    アランは隊長が心配でなるべく近くで寝ようと思っていた。
    平気なようでも夜になって横になると 隊長はアンドレを思い出して後を追うかもしれない。
    そうはいっても隊長の周りはすでに沢山の隊員が陣取っていた。
    何人か見張りを立てて皆 寝始めた。

    灯りが消され教会のステンドガラスから 月の光が隊長の上に落ちた。
    隊長の被っているくすんだ毛布が ステンドガラスの光に色づく。アランは眠れなかった。
    隊長の毛布が揺れて寝返りを打っているのがわかる。さっきから何度も。

    「アンドレ 眠れない。」

    隊長の声にアランはドキッとした。他の何人かの隊員も気づいたようだ。皆眠れなかったのだ。

    「アンドレ アンドレ」

    もう亡き人を呼ぶ隊長の声。寝ぼけているのか。それとも

    「どこだ アンドレ」

    その時アランの横を一陣の風が通った。アランはそう感じた。
    隊長のまわりが少し明るくなった気がした。

    「アンドレ どこに行っていたのだ。怖い夢を見た。
    おまえがいなくなって わたしは泣いていた。」

    その時 おれは確かに聞いた。男の声なのにお母さんのように歌うアンドレの声を
    「この歌 アンドレが死ぬとき歌っていた歌だ・・・」
    おれの呟きに周りの何人かがおれを振り返った。
    もし 衛兵隊一の霊感男のフランソワが生きていたら
    何か見えたかもしれないが おれには歌声しかわからなかった。

      どうしたの 愛しいわが子 なぜなくの
      夜のとばりに おびえたかしら
      降り継ぐ雨に 哀しくなったのかしら

      さあ愛しいあなたのお顔 お母さんに みせてね。
      あなたのお顔にお父さんがみえるわ
      あなたのお顔におじいさんがみえるわ
      あなたのお顔におにいちゃんがみえるわ
      あらあら おめめはわたしにそっくりね
      いろんなひととつながって あなたはうまれてきたのよ
      そしてあなたはいつの日か だれかと一緒にいのちをつなぐの

      お母さんはあなたより先に逝きたいわ
      でもね大丈夫なの あなたが愛することをやめないでいてくれたなら
      また 会えるから 
      こんどはあなたの孫になろうかしら
      それともかわいいこいぬになってあなたといっぱいあそぼうかしら

      それまではあなたを癒す慈雨となりましょう
      それまではあなたのなみだをかわかす風となりましょう
      それまではあなたをあたためる太陽となりましょう
      それまではあなたの夜道をてらす月あかりとなりましょう

      隣人をにくまないでね かれはあなたのひいおじいさんかも
      兄弟をけなさないでね かれはあなたのひいおばあさんかも

      いのちはめぐるはいつまでも
      だから あなたを愛しつづけられるわ
      だから あなたは愛にいつも包まれているわ

      だからなにもこわくない ゆっくりおやすみ いとしいあなた

    いつの間にか隊長もおれ達も寝てしまったようだ。
    見張りの交代に起こされた時には 皆静かで歌はもう聞こえなかった。
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    青林

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