天使のくれた七日間ー6-

    アランは夕べの事が気になっていた。確かめてみるか。アランは思い切って話しかけた。
    「隊長 待機ならアンドレのところへ行ってもいいですか。」
    「アンドレのところ?」
    「そうです。」
    隊長のサファイアの瞳が大きくなった。
    「そうだな。そうだった。わたしも行こう。」
    隊長はユラン伍長に何かあれば連絡するように言って おれと一緒に歩き出した。

    「アラン 夕べ夢を見た。アンドレが子守歌を歌ってくれるんだ。懐かしい歌をな。」
    「それって やつが死ぬ時歌っていた歌ですか。」
    「ああ アンドレの母上がよく歌ってくれた歌だそうだ。」
    「今度おれにも教えてくださいよ。女口説くのに使えそうだ。」
    「ふふ 子守歌だぞ。それとも まだわたしを思ってくれているのか。」

    まっすぐ隊長はおれを見た。
    「アラン そうだとしたらわたしのことは 諦めてくれ。わたしはもうアンドレのものだ。」

    なんてきれいで澄んだ瞳なのだろう・・・

    「永遠に・・・だ。」

    澄んだその声は一切の迷いなくそう言い切った。
    返事はできなかった。おれの時もそうだった。
    ディアンヌが死んでおれはもう立ち直れない気がしていた。
    それでもおれは今生きている。今すぐでなくとも 
    いつかはアンドレのことを過去に出来る日がくる。
    その時までおれは待とう。この人を守りながら。
    アランはそう決めていた。アンドレにも約束したのだ。

    教会はもう目の前だった。中に入るとジャンもフランソワもいなかった。
    神父の話によると夕べ二人とも それぞれの家族に引き取られたそうだ。

    「オスカルさまでしたね。聞けば貴族であられるのに我々の味方をしてくださったとか。
    ありがとうございます。」
    神父は穏やかに礼を述べた。
    「こちらこそ お世話になっております。」
    「彼はあなたの従僕であったそうですね。
    もしよろしければこちらで 埋葬させていただいてもかまいませんか。」
    「願ってもないことです。ありがとうございます。
    ただ彼はわたしの従僕ではありません。わたしの夫なのです。」
    隊長はほっとした様子だった。もう彼女に帰る家はない。頼る人は逝ってしまった。

    アンドレの遺体は静かに眠るように横たわっている。アランはささやくように
    「心配するな。約束は守る。」
    そうアンドレの遺体に言った。
    「アラン先に戻っていいぞ。わたしはアンドレに少し話がある。」
    隊長はそう言ったけれどアランは教会の外で待つことにした。

    「アンドレ・・・」
    オスカルは優しく話しかけた。
    アンドレの魂はずっと付いていた。アランに言ったオスカルの言葉にさっきから号泣していたのだ。
    嬉しいけれど困る。複雑な涙なのだ。
    そうとは知らずオスカルはアンドレの遺体に話しかけ続けた。
    神父は気をきかせて席を外してくれた。昨日と違い今日は誰もいない。

    「アンドレ ・・・」

    何か言葉をそう思ったけれど 彼の名だけしか出てこなかった。
    オスカルは諦めたように教会を後にした。
    わたしはまだアンドレと別れる事はできない。そう思った。

    出てきた隊長を見てアランは 隊長がアンドレと別れのあいさつをしたのだと思った。
    これで隊長もアンドレが死んでいることを認めてくれた。
    辛いけれどこれが第一歩だとアランは思った。
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