天使のくれた七日間ー12-

    パリの街は活気に満ちていた。アラン達はどうなったのだろう。ベルナールやロザリーは。

    「なかなか 似合うぞ。アラン。」
    「ま おれくらいのいい男なら 何でも似合うってもんさ。」
    へへっとアランは笑った。ベルナールはうんうんと嬉しそうだ。
    見ればアランの帽子に見慣れぬ帽章が付いている。赤 白 青の三色をあしらったものだ。
    「赤と青はパリ市の紋章の色。これを市民軍の色に使っていたのだが 
    これにブルボン王家の白を組み合わせ この帽章ができた。
    そして市民軍は正式に国民衛兵となった。
    この帽章はそのシンボルだ。誇りを持って付けてくれ。」
    「ああ 隊長が命をかけてくれたものだ。大切に守るさ。」
    アランは腰の剣を見た。
    「ジャルジェ将軍にこの剣を届けた時 こう言われた 

    "オスカルの剣は君が持っていなさい。あれの意思を受け継いでくれたのだろう。
    そして新しい時代を共に戦ってほしい"

    と おれは隊長の剣と共にこのシンボルを守る」
    「隊長・・・オスカルか。彼女が全てを投げ打った戦いで 
    市民は自分達にも力があることを知った。
    あれから多くの市民が そう女性もが政治に関心を持つようになった。
    いよいよ 立憲君主制にむけて大きく動きだすぞ。」
    「前にその話を聞いたときは 夢絵空事と思っていたが
    王さまがこの帽章を付けられた時 実現するかもと思えたよ。」
    「ルイ16世は稀な王だ。あの王のもとなら何とかなるかもしれない。いや してみせる。
    王はバスティーユ陥落の後 パリ市庁舎を訪問なさり市民と和解なされた。
    そして国民衛兵の創設と最高司令官をラ・ファイエット将軍にすることを承認されたのだ。
    そして新パリ市長となったバイイ氏から 三色の帽章を受け取られお付けになられたのだ。」
    「あの時 市民は歓喜して"国王万歳"を叫んだんだ。隊長に見せてやりたかった。」
    アランの目は天を仰いだ。
    「見ているさ。きっと天国から。」
    ベルナールも同じ方を見た。彼らはオスカル達がすぐ隣にいるのに気がつかない。

    「おーい。アラン。」
    遠くで聞き覚えのある声がする。見れば元衛兵隊の連中だ。彼らと共に戦ったのはほんの六日前。
    皆お揃いの制服には三色の帽章が誇らしげに付いている。

    「じゃな アラン。」
    「おう。元気でな。近いうちに飲もうぜ。」
    いつの間にこんなに仲良くなったのだとオスカルは思った。
    去って行くベルナールの背中を見ながら ロザリーはきっと大丈夫だと確信できた。

    (フェルゼンはまだ 到着していないようだな。)
    パリとは違いベルサイユは不安に包まれていた。
    王弟アルトワ伯をはじめ 多くの貴族の亡命が始まっていた。
    けれど心ある貴族はまだアントワネットさまのおそばに残っていた。
    むしろこの危機に残るものこそ 真にアントワネットさまを思う者なのだろう。
    これにフェルゼンが加われば大丈夫だ。自分の隣に立つアンドレを見てそうオスカルは思う。
    市民と王家は和解した。フランスは立憲君主制をとるのだ。
    アントネットさまにもフェルゼンにも危害が及ぶことはあるまい。
    スウェーデンのフェルゼン伯爵家には男子がもう一人いる。
    ファビアンはフェルゼンに負けないくらい立派な青年に見えた。

    ジャルジェ家は思いのほか明るかった。
    アンドレに続きオスカルの戦死 ばあやの死と不幸続きのはずなのだが。

    「いつまでも 泣いていたら天国のオスカルさまに笑われるわ。」
    「そうよ。オスカルさまはあたしたちの誇り。
    女だってこれからの時代はシュタイセイを持って生きていくんだから。」
    「あらあら 主体性なんて意味わかっているの。」
    「また ばかにして あたしだっていろいろ勉強しているのよ。」
    「これは失礼しました。そうね。わたしも親に決められるのではなく 
    オスカルさまのように自分の生き方は自分で決めたいわ。」
    二人の侍女は同時に空を見上げた。別の侍女が二人に声をかける。
    「ねえ。おくさまがどちらにいらっしゃるか 知らない?」
    「おくさまなら だんなさまと墓地に行かれたわ。」
    「そう。ありがとう。あなたたちも油売ってないでしっかり頑張ってよ。
    もうマロンさんはいないんだから。」
    「はーい。」
    侍女たちは明るく返事をした。
    「大丈夫。わたしたち大切なことはちゃんと マロンさんに仕込んでもらったもの。」
    「うん。」
    晴れやかな侍女たちの成長ぶりに 横でみていた魂のマロンは涙した。
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    青林

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