エピソード6 考察ー10-オキザリス<6>

    レニエはようやく 再びロレーヌ公国を訪れ、ジョルジェットとの再会を果たした。

    彼女は待っていてくれた。あの場所で。そしてレニエを受け入れてくれたのだ。

    指を絡め 抱きあい 愛を確かめた。

    レニエはフランスにいったん帰国し、彼女を妻に迎えるべく知恵を絞っていた。
    王は結婚の許可をくださらなかったのだ。

    どうしたものか・・・誰か家格の釣り合う家の養女にでもしてもらうか それとも・・・

    そんな思案に暮れている時であった。

    じいやが手紙をレニエに渡した。
    「なにやら 急ぎの手紙とのことでございます。」
    差出人を見ると ウリアスとある。見知らぬ名であった。

    ともかくも 中を見て レニエは顔色を変えた。

    すぐさま 馬に飛び乗り駆け出していた。
    レニエが落とした手紙を見て事の次第を知ったじいやは
    震えあがりながらも 後を追うべく準備を始めた。

    何故だ?どうして?

    レニエには訳が分からない。
    何故、ジョルジェットが修道院になど入ろうとしているのか?
    確かに愛し合っていると思ったのは自分の勝手な思い込みだったのか?

    処女を奪うということは その娘が嫁げなくなるということ。
    つまり自分は彼女の人生に責任を持つという意味を込めて抱いたのだ。
    それが分かっていたからこそ、体を許してくれたのではなかったのか?

    あんなに愛し合ったのに 何故自分を置いて行ってしまうのだ。
    これからの人生をあなたなしでどう生きろというのだ!

    宿駅毎に馬を替え 昼夜を問わず 全力で駆け抜けた。
    もし 修道女になる誓願を立てられてしまったなら 
    取り返しがつかなくなる。事の真偽はそれを止めてからだ。

    あの再開の日、レニエに愛されて ジョルジェットは泣きぬれていた。
    レニエにウリアスさんのことを話すことはできなかった。
    彼を前にして、逃げ出すことしかできなかった。

    あれほど会いたいと望んでいながら いざ、目の前にしてみれば 
    自分は不実にも他の男に心を許しかけていたのだから。

    それでも 追って来て抱きしめてくれた。気が付けば夢中で彼に縋っていた。
    けれど、それを過ぎて 現実をみれば これは裏切りだった。
    あれほど 親切にしてくださった方への裏切り。
    そして、レニエを信じて待っていなかったのに それを隠して彼の愛を受けてしまったのだ。

    なんと自分は卑怯なのだろう。

    レニエはフランス王の使いも務めるほどの伯爵さま。
    宮廷で見かけた彼は供を従え 颯爽としていた。
    華やかな宮廷にあってもその存在は特別な光に包まれているかようであった。

    宮廷には美しく着飾った貴婦人が沢山いた。このような小さな公国でさえ。
    ましてや世界一とまで言われるフランスの宮廷には
    どれほど 素晴らしい女性がいることだろう。
    そんな女性こそ彼にはふさわしいのだ。
    自分などがいくら彼に望まれたとしても足手まといにしかならない。
    王もそんな結婚お許しにはなるまい。

    自分のような不実な人間は彼と添うことなど許されない。
    心から愛を持って嫁ぐのではなく ウリアスさんの財産が目当てであった。

    それが分かっていてもウリアスさんは誠意を尽くしてくれたのに。
    それさえも裏切り レニエに真実を告げず愛を欲した。

    もう ウリアスさんに嫁ぐことも レニエに会うこともできない。
    神に自分の罪を懺悔しながら生きるしかない。

    (つづく)

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