キスー1-

    本日より 新連載 ”キス” を始めます。

    本当は新作 ”わたしの気持ち” をUPしようと思ったのですが
    わたしの他のSSをご存じない方には
    わからない内容なので サイトに既出ではありますが
    先に ”キス” を載せてから ”わたしの気持ち” をUPしたいと思います。

    尚、サイトの方には ”わたしの気持ち” 全文UPしました。
    早くお読みになりたい方はそちらをご覧ください。

    それでは ”キス” スタートです。

    「やってみようか。」
    奥様付きの侍女アンナと厩番のジョンのキスを見て オスカルはさらっと言った。
    二人はもうすぐ結婚するのだ。
    ジョンの腕の中で幸せそうにうっすら涙を浮かべ   初々しく恥じらうアンナは 
    子供のおれから見てもドキドキするくらいだった。
    遠乗りに行こうと思って 厩舎にきて偶然見てしまったのだ。
    おれは慌ててオスカルを 引っ張って物陰に隠れた。
    おれ達にはぜんぜん気づかず
    ジョンとアンナはくちづけを 繰り返した。何度も。
    「もう 遠乗りはやめていこう。」
    おれは居たたまれなくなって そう小声で囁いた。
    オスカルは二人の様子をじっと見ながら さらっと言ったのだ。
    「やってみようか。」

    おれたちはそぉと厩舎を抜け出し屋敷の裏庭に出た。オスカルは
    「いくぞ。」
    と叫ぶと 庭の木戸を勢いよく開けて裏の林へと駆け出していた。
    「待ってよ。」
    おれも急いで追いかけた。頭の中でさっきのオスカルの言葉がリピートしていた。
    しばらく走ってようやくオスカルは止まった。
    「ここなら 大丈夫だ。」
    「なにが。」
    「キスしても。」
    心臓が止まったと思った。

    「本当にするの。」
    「お前 見ただろさっきの。大人はみんなあんな事をしているんだぞ。知らなかっただろ。」
    オスカルは得意げだ。"`知っているよ そんな事"言いそうになったけど言わなかった。
    オスカルの機嫌を損ねたくなかったのと さっきの言葉への期待があったから
    「そこでだ。何故、泣きだすくらい大人はキスがいいのか。試してみることにする。」
    ああ またか。オスカルは好奇心が強い。その上いろいろやってみないと気がすまない。
    今までにも様々な実験やら検証やらに付き合わされてきた。
    一度などは科学の本に書いてあった実験をこっそり二人だけでやって 
    納屋を吹き飛ばしてひどく叱られた。

    けれど 今度のオモイツキは今までとは違う。おれはもう一度
    「本当にするの。」
    と念をおした。
    「嫌なのか。おまえ。」
    オスカルが怒ったように言った。
    「嫌じゃないよ じゃあいいんだね。」
    おれはまじめな顔をわざとつくった。
    オスカルはちょっととまどったようだけど おれが協力してくれなくなると困ると思ったのか 
    少し顔をそむけただけだった。すぐにこちらに向き直ると
    「よし、では始める。」
    オスカルは真面目くさって オホンと咳払いをしてそう言った。
    おれが手を伸ばしてオスカルの顔に触れようとしたら
    「違う、実験はぼくがやるんだ。おまえは目を閉じていろ。」

    ”そんなぁ。初めてのキスなのにおれがされる側なのかよ。
    普通オトコのおれから オンナのおまえにしてあげるものだろ。”

    そんなおれの心の叫びにも気づかず
    「はやく目をつむれよ。やりにくいだろ。」
    オスカルはいらいらと言った。

    しかたなく目を閉じると 両ほほを冷たい手に押さえられた。
    「い、いくぞ。よ、よういは い、いいか。」
    「いいよ。」
    いったいなんの用意なんだか。目を閉じていてもオスカルの緊張が伝わってきて おかしかった。
    リトル♡キス

    そっと大切なものに触れるようにゆっくりと オスカルの唇がおれの唇に重なった
    少しひんやりして気持ちいい。おれの鼓動は早くなり 
    心臓の音が彼女に聞こえたら どうしようと思った。
    おれは思わず 手を伸ばして彼女を抱きしめたくなった。
    そして そっと手をあげかけた。

    パッ

    あまりにもあっさりおれの唇は解放された。びっくりして手をひっこめた。
    ドギマギしているおれには目もくれず オスカルは思案顔だ。
    「わからない・・・」
    オスカルは眉をよせて
    「わからない。なんでこれで泣けるくらい感動できるんだ。」
    本気で悩んでいるオスカルに どうしていいかおれは困った。
    説明したほうがいいのかな。
    あっでもそうしたら おれは おれは

    「もう 一度してみるか。」
    そんなおれの心の葛藤をよそに オスカルはそう言った。
    「もういいだろ。」
    おれはなんだか 嫌になって
    「つまんないよ。こんなの。遠乗りに行こうよ。」
    わざと怒ったふうに言った。
    「そうだな そうするか。」
    オスカルは納得がいかない様子だったが 
    これ以上やっても無駄な気がするのと
    おれがめずらしく 不機嫌になったのでこの実験はお開きになった。


    実際おれは怒っていた。おれの気持ちに気づかず 
    なにもわかってなくて  無邪気なオスカルに
    そんなオスカルの初めてのキスを まんまとうばってしまった自分に

    どうしてだろう 怒っているのに 涙が出てきた。
    どうしてだろう 泣き顔なんて 
    今まで何度も オスカルに見られているのに
    どうしても泣いているのを 知られたくなくて 必死で走った。
    後ろからオスカルが何か言っているけれど 
    無視して急いで厩に駆け込んで 袖で顔を拭いた。
    スポンサーサイト
    sidetitle最新記事sidetitle
    sidetitleプロフィールsidetitle

    青林

    Author:青林
    ”ベルサイユのばら”の二次創作サイトを作っています。ぜひ遊びに来て下さいね。

    青林サイトへ

    ただいま、コメントへのお返事は基本的にはしておりませんが、頂いたコメントは大切に読ませていただいています。ありがとうございます。

    sidetitleカレンダーsidetitle
    06 | 2017/07 | 08
    - - - - - - 1
    2 3 4 5 6 7 8
    9 10 11 12 13 14 15
    16 17 18 19 20 21 22
    23 24 25 26 27 28 29
    30 31 - - - - -
    sidetitleカテゴリsidetitle
    sidetitleリンクsidetitle
    sidetitle月別アーカイブsidetitle
    sidetitle検索フォームsidetitle
    sidetitleQRコードsidetitle
    QR