アニメ版ベルサイユのばら萌え語り(14)かた恋のメヌエット

    第20話「フェルゼン名残りの輪舞」で 
    川辺で別れた フェルゼンと 違う場所ではあるけれど
    川辺で再開した オスカルとアンドレ 

    かたわらを流れる川のごとく 3人は7年の歳月を変わらぬようでありながら
    しかし 確実に過ごしていたのです。

    アンドレが投げたリンゴ
    両手で嬉しそうに 受けようとしていたオスカル

    それを無残に 一発の銃弾が打ち砕きます。

    それまで 自分と共にあった オスカルが満面の笑みを浮かべて 
    フェルゼンに駆け寄るのをアンドレは静かに見守ります。

    行くなと言えるわけないか


    アンドレは7年前は オスカルの心がフェルゼンに占められていくのを 
    苦しげに見つめていました。

    しかし この7年 彼は彼女の幸せを願える男に成長していました。

    フェルゼンを忘れてほしいと願っていたのに 
    彼の生死を確かめて教えてあげたりもしていました。
    一人の男として 愛する女性の 本当の幸せを願うようになったとき

    今まで 自分よりできる優秀な親友を見上げていた幼かった彼とは違い
    守るべき対象として 彼女を見るようになります。

    時代は不穏な空気に包まれています。
    オスカルが彼女にふさわしい男性と一緒になって 
    幸せになれるならと自然に思えたのです。

    たとえそれが 自分にとってどれほど 辛かろうと。
    酒場で乱闘した帰り道 彼は寂しげに彼女を見つめます。
    「おれにはわかる どんなかっこうをしていようと まちがいなくおまえは女だ」

    お子に囲まれて幸せそうなアントワネットの様子に 進言が出来なかったオスカル。
    独立戦争で戦死した友人の形見を遺族に届ける負傷兵に 目を見開くオスカル。

    そんな姿を見守りながら 
    アンドレはオスカルの女性らしさを認めぬわけにいかなかったのです。

    そして、その女性としての幸せがどこにあるかも 彼は知っていました。
    フェルゼンと語らい フェルゼンがもうアントワネットをあきらめたと知って 
    驚きと一抹の希望をオスカルが抱くのを 
    アンドレは微笑んでみられるほど成長していました。

    フェルゼンもまた この7年 文字通り 命を懸けた歳月を経て
    愛する女性のために なにが一番いいのか考え 
    たとえ どれほど辛くとも 彼女のために身を引くことを 
    穏やかに実行できるほど成長していました。

    二人の男性に比べ オスカルは違う成長をしていました。
    ジャンヌ事件を経て アメリカの独立戦争の勝利を知り
    漠然としたものではあるけれど 

    人は決められた道を必ずしも進まなくてもいいのではないか

    と感じ始めていたのだと思います。
    自らの意志で 運命と戦い生きる生き方もこの世にはあるのだと。

    それまで 父に従い 軍人になり 
    王家を守ることが自分の使命と思い
    それに順ずることが正しいことなのだと信じていました。

    けれど 今は違う。

    フェルゼンがもし 自分をみてくれたなら 彼について行ってもいいのかもしれない。
    ジャルジェ家のことは 自分が結婚して子をなしていない以上
    いずれ 養子をもらわなければならない。
    それが少し早まるだけ。そう考えたかもしれません。

    成長した3人は7年前 無理して和やかな雰囲気を作っていたあの日と違い
    なにか 吹っ切れたようなフェルゼンを中心に 心から穏やかな時間を過ごします。
    剣を交えるのも 談笑するのも あの日と同じようでありながら 
    確かに違うものを 3人とも感じていました。

    もし 何もなければ オスカルはフェルゼンと自然と愛し合うようになり
    アンドレは遠くフランスから スウェーデンに嫁いだオスカルの幸せを祈って
    暮らしたかもしれません。さすがに付いていくことは彼には辛すぎたでしょうから。

    Jamアンドレも隠し子騒動の時
    「あのモーリスが本当に おまえの弟であってくれればと 
    奥さまには申し訳ないが 俺はそう思う」
    と言っていました。

    そうなってしまえば オスカルは女に戻り 
    もしかしたら 貴族の男性と結婚してしまうかもしれないのに

    そうなれば アンドレ自身がどれほど 辛いか分からないはずはないのに

    彼は自分の痛みより オスカルがジャルジェ家の跡取りという重責を逃れて
    彼女自身の幸せを選択できるようになればいいと 考えるのです。
    Jamのオスカルもこの頃 フェルゼンに恋をしていましたから。

    この回のアニばらのアンドレとこの時のJamアンドレは
    同じような心情に思えます。

    けれど またも 銃声がなり オスカルのささやかな夢を砕いてしまいます。
    撃たれたアンドレに駆け寄るオスカル。
    フェルゼンに語リかけるアンドレの後ろに
    隠れるように立つオスカルは可哀想なくらい
    打ちひしがれています。

    その姿は

    分かっていたのだ

    そう言っているかのようです。
    フェルゼンが今のフランスの現状を知ってしまえば 
    彼は必ず アントワネットさまを助けようとするだろう。

    彼は もう 他の女性には 目もくれまい

    アントワネットに会いに行くというフェルゼンを オスカルは黙って聞いていますが
    その顔はわずかに微笑んでいるかのようです。

    それでこそわたしが愛したフェルゼン

    7年前なら 微笑むなどできなかったかもしれません。

    今まで オスカルはフェルゼンとアントワネットさまの関係を
    良くない事と とらえていました。

    帰国するように勧めたり 礼服を着て二人が踊るのを止めたりもしました。
    王妃の不倫など タブーだと。

    ではなぜ今は 会いに行くというフェルゼンを止めないどころか 
    まるで肯定するかのように頷くのか。

    彼がいない間 アントワネットの哀しみが
    オスカルの人を愛するということを知ってしまった心にストレートに感じられました。

    アントワネットさまを救えるのは彼しかいない。
    それが分かってしまったのです。

    人が作った決まり事など 実は必ずしも正しいわけではない。
    そう 感じ始めていたオスカルには もはや 不倫は絶対悪ではなくなっていました。
    それどころか 危険を冒してでも愛する人の為に生きようとする姿を
    素晴らしいと感じるようになっていました。

    これで良かった。オスカルは思いますが 彼女の気持ちは一度夢見た
    女の幸せを振り切ることが出来ません。

    それを 振り切るために オスカルは女に戻ります。
    14歳の時 女と決別して 一生男として生きる気でいたけれど
    一度だけ 自分の気持ちにけりをつけるために。

    この時 オスカルは気づいていませんでした。
    何故 ドレスを着るくらいで 長い片想いに決着をつけられると
    確信できているのか。

    彼女は本当に大切なものに気づいていませんでした。
    それに気づくにはまだ 心の成長がたらなかったのです。

    自分で思った
    「この世でわたしが たった一人愛しても良いと思った人」
    の言葉の意味を。

    愛しいてもよい。ふつうなら なんだか 偉そうな感じがしませんか。
    愛してやってもいいわよ みたいな上から目線で。

    けれど アニばらのオスカルはどちらかと言えば 謙虚な性格。
    とてもそんな傲慢な意味とは思えません。

    ならば この言葉の真意は
    愛してもよい相手 それを許されている相手と取る方がいいのではないでしょうか。
    ただフェルゼンを愛しているのなら 

    「この世でわたしが たった一人愛した人」

    と言えばいいのです。

    そういわないのは 愛した人は他にもいるけれど 
    それは許されない相手 愛してはいけない人
    だから。

    愛しているとさえ 気づいてはいけない相手。
    今までずっと 自分をだまし続けてきた。今も自覚しないようにしている。

    それでも 確実に心は開かれつつある。
    そして おそらく その人をフェルゼンよりも強く愛している。

    だから 今オスカルが本当にあきらめたのは女としての夢。
    女性として生きることをあきらめたのです。
     
    それゆえ ドレスを着る必要があったし
    フェルゼンと楽しいひと時を過ごすだけで 彼をあきらめられるのです。
    本当に失いたくない人は別にいるのですから。

    7年前と同じように盛装して舞踏会に出かけます。
    あの時は 王妃を 親友を守るために。
    今は自分の想いに決着をつけるため。

    7年前駆け去ったのはフェルゼン。
    今そのフェルゼンから駆け去るのは自分。 

    「結局は帰っていくんだ 決まったところへ 誰にもとめられない 誰にも」
    アンドレはオスカルに話します。 けれどオスカルはこの時 なにを思ったのでしょう
    アントワネットのところへ帰るフェルゼンでしょうか 
    それとも いつか 帰るべき自分でしょうか

    オスカルの心のフランス革命はまだ道半ばです。

    今日の放送は第26話「黒い騎士に会いたい!」

    http://www9.nhk.or.jp/anime/versailles/

    いよいよ 短髪アンドレ誕生です。

    黒い騎士の装束で マントをひるがえして
    オスカルにお辞儀をするアンドレがすごくステキです。


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    す、すごい…

    2016年1月初旬に一度だけコメントさせて頂いた者です。
    過去記事にコメント失礼します!

    今から3ヶ月ほど前のこの記事、
    “今オスカルが本当にあきらめたのは女としての夢。女性として生きることをあきらめたのです。”
    のところ…

    エピソード7のオスカルの“諦め”のテーマを早々述べていらっしゃる!みたい!!
    エピソード7の前編の発売は12月19日、それよりずっと以前に!!
    鳥肌が立ってしまいました。

    確か、若き日のジャルパパ&ジャルママの野外HもSSでいち早く描かれてましたよねー。
    青林さま、もしかしてあなた様は特殊能力をお持ちなのではないですか???

    Re: す、すごい…


    過去の記事まで見ていただいているのですか?!
    ありがとうございます(っ*^ ∇^*c)

    偶然、そうなっただけで 特殊能力はありません。
    ですが、欲しいですね、特殊能力(笑)

    う~ん そうですね たとえばコミックスの中に入れちゃう能力とかwww
    あ、でも そうしたらどっぷりはまって 
    現実に戻ってこられなくなっちゃいそうですね。

    二度目のコメントありがとうございました。

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    青林

    Author:青林
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    ただいま、コメントへのお返事は基本的にはしておりませんが、頂いたコメントは大切に読ませていただいています。ありがとうございます。

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