わたしの気持ちー1-

    本日から 新連載 わたしの気持ち をスタートします。


    "アノトキ"以来 アンドレはわたしにキスもハグもしなくなった。"

    "アノトキ"は確かに驚いたし怖かった。
    当然だろう。突然腕を痛いくらい掴まれ 乱暴に扱われ 
    無理やり衣服をはぎ取られそうになったのだから。
    わたしだって女だ。 そこまでされたらさすがに泣いてしまう。

    でも 別にたいした事だとは思ってなかった。
    アンドレが勝手にわたしにキスしたり  抱きついたりする事は 今までもよくあった。
    彼女いない歴=年齢のアンドレを不憫に思い好きにさせていた。
    さほど嫌じゃなかったし 正直ちょっと気持ちいいかな なんて思ってもいた。
    そろそろやめてくれないかなと思う頃には放してくれたし。
    そんな寛容なわたしでも あそこまでやられたらさすがに閉口する。

    けれど もうしないって謝ってくれたし もう何とも思っていない。むしろ感謝の気持ちさえある。

    あの日 わたしはボロボロだった。ベルナールに"王宮の飾り人形"と言われ 
    何も世の中の事を知らない自分を思い知らされた。
    人としても軍人としても自分に自信が持てなくなっていたのだ。
    さらにベルナールはわたしの女のプライドまでズタズタにしてくれた。
    あいつはロザリーには恥ずかしがって 手当を受けるだけで赤くなるのに 
    わたしには平気で馬乗りになって殴ろうとしたのだ。この扱いの差はなんだ。

    そのうえフェルゼンに別れを告げられた。わたしの中ではもうとっくに心の整理がついていた。
    何も言わないでいてくれたら これからも良い友人でいられるはずだったのに。
    初めて会った時 女性と分かればとも言われた。そんなにわたしは女の魅力に欠けるのか。

    そんなわけでわたしは全てにおいて自信喪失状態だったのだ。
    何となく穴倉にでも潜り込みたい気分だった。
    部屋を暗くして椅子の上に体育座りで落ち込んでいたのだが 
    妙に心細くなって 少しだけ部屋のドアを開けておいた。
    案の定 アンドレはすぐに引っかかった。
    あいつは几帳面で傾いた絵をすっと直したり 散らばった書類なんかも ささっと整える。
    半開きのドアや引出しにいたっては中を確かめてから閉めるのだ。

    「オスカル?どうしたあかりもつけないで」
    ほうらやっぱりきた。何のことはない。少し話をして気を取り直したいと思っただけだ。
    ただそれだけだった。なのに あんな事になるなんて。

    アンドレが部屋を出て行ってから わたしは彼の掛けてくれた掛布にくるまってじっとしていた。
    するとばあやが来た。
    「オスカルさま 灯りをお持ちしました。」
    まさか アンドレのバカ 本当にばあやに灯りを持ってこさせたのか。この状況が解ってないのか。
    「オスカルさま どうかなさいましたか。」
    今にも入ってきそうだ。
    「ちょっと 待ってくれ」
    慌てて 上着をはおって首元を締めた。
    「はいれ」
    「オスカルさま 大丈夫でございますか」
    「なにが」
    「いえ その 何でもなければ良いのですが」
    下から見上げるばあやの目は心配と探りの色が感じられた。
    「いえね アンドレの様子も 少しおかしかったものですから」
    「アンドレが何か 言っていたのか」
    「いえ 特には オスカルさまのところへ 行ってやってくれと」
    あいつはどこまで 天然なんだ。傷心のわたしをばあやに慰めさせる気だったのか。
    「大丈夫だよ。ばあや 灯りをありがとう」
    わたしは 満面の笑みでばあやをさがらせた。

    部屋の灯りをつけて 着替えをした。破れたブラウスをどうしようかと手に取って眺めていると 
    さっきまでの事が思い出された。

    アンドレの熱い吐息 抗えないほどの力強さ 自分を女として求められた。体がほしいと。
    わたしを美しいと賛美してくれる者は沢山いた。神々のようだとか 絵のようにとか。 
    けれど生身の女として 抱きたいと思ってくれたのはアンドレだけだ。
    あのおとなしいアンドレが わたしの衣服を破り捨てるくらい激しく求めてくれた。

    わたしはいっきに女としての自信を取り戻した。わたしはれっきとした女だ。
    皆がなんと思おうと勝手だ。分かるやつには分かる。
    そうなると俄然やる気が出てきた。いつまでも人形扱いされてたまるか。
    わたしは軍人として誰にも負けない自信がある。それを証明しよう
    わたしは近衛を辞める決意をした。
    啓蒙思想の本も読んだ。何も知らなかったのなら学べば良いのだ。

    そんなわけでわたしは"アノトキ"の事をもう怒ってもいないし 気にもしていなかったのだが。
    アンドレは気にしているのか様子が変だ。
    今までと変わらず供をしてくれ 何も変わってないはずなのに 
    いつも通りテキパキと仕事をこなしてくれているのに 何か引っかかる。
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    青林

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