袖すり合うも多生の縁<4>

    ロザリーに見送られながら外に出ると 足もとでカサっと落ち葉が音を立てて崩れた。
    たわむれに一枚拾い上げて 指先でクルリと廻した。

    「もうすっかり 秋だな」
    ふき出した木枯らしに ベルナールがコートの襟をたてる。
    黄金色の落ち葉のじゅうたんが 巻き上げられ レンガの地面が顔を出す。

    「外は秋だが おまえは春なんじゃないのか」
    アンドレは少し微笑んで ベルナールを見る。

    「どういう意味だ」
    ちょっと不愉快そうに彼は答えた。
    「えっ だって ロザリーと上手くいっているんだろ。
    さっきだってまるで夫婦みたいだったぞ」
    「そう見えるのか?だとしても それは勘違いだ。
    彼女がおれを男として見ていないだけなんだ」
    「そうなのか」
    「彼女の頭の中はオスカルのことしかないんだ。
    彼女が何かとおれの世話を焼いているのだって 
    単にオスカルの情報がほしいだけさ。可愛い顔して したたかなもんさ」

    アンドレは黙って手元の落ち葉に視線を移した。
    頭の中で マザーグースをまた思い出していた。
    砂糖の後に続く歌詞はたしか スパイスだった。

    「おまえはどうなんだ。オスカルとは?」
    「ははっ相変わらずさ 幼馴染なんて 
    もう何のときめきも感じない相手なんだろうよ」

    弄んでいた落ち葉をそっと地面に落とした。
    「おれも 男扱いされていない」
    アンドレの言葉に 今度はベルナールが黙ってしまった。

    女の子って 何で出来ているの?

    ふいにアンドレが歌い出した。

    女の子って 何で出来ているの?
    お砂糖と スパイスと 素敵なものすべて
    そんなもので 出来ている。


    「マザーグースか でもあれって 男に厳しいよな」
    ベルナールがぼやく。
    くすっと笑って アンドレは今度は始めから歌った。

    男の子って 何で出来ているの?
    男の子って 何で出来ているの?

    蛙と カタツムリと 子犬のシッポ
    そんなもので 出来ている。

    女の子って 何で出来ているの?
    女の子って 何で出来ているの?

    お砂糖と スパイスと 素敵なものすべて
    そんなもので 出来ている。

    若者って 何で出来ているの?
    若者って 何で出来ているの?

    ため息と 流し目と 嘘の涙
    そんなもので 出来ている。

    娘さんって 何で出来ているの?
    娘さんって 何で出来ているの?

    リボンと レースと 甘い顔
    そんなもので 出来ている。


    「リボンとレースか いつも世話になってるし たまにはプレゼントでもしてみるか」
    ベルナールは 明るい声でそう言った。
    「そうしろ そうしろ "甘い顔"してもらえるかもしれないぞ」
    「ははっ そこまで楽天的じゃないさ じゃあな アンドレ」
    「またな」

    所詮 素敵なものすべてで 出来ている女の子に 
    男の子は子犬のようにシッポをふるしかないんだろう。

    (つづく)
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