袖すり合うも多生の縁<6>

    ドアを開けると 彼の部屋にも 無遠慮に男の領域に入り込む娘が
    彼のベッドに寝転んで 彼の枕を抱きしめて寝ていた。
    しかも白いシャツだけで 白くしなやかな足はむき出しのままだ。

    「ったく」
    アンドレは荷物を椅子に置くと オスカルに掛布を掛けた。
    彼女のためというより 自分が困るからだ。

    オスカルはいつまでも 子どものままだ。
    自分の無防備な姿が 大人になってしまったアンドレにとって 
    どれほどの脅威になっているのか 全く分かっていないのだ。

    寝息と共に上下する胸がどれほど 餓えた狼に美味しく見えるのか
    寝返りをうつ 足もとがどれほど 扇情的なのか まるで自覚していない。

    首元まで覆っても その体のラインは掛布ごしでも艶めかしく 
    思わずその稜線を手の平で撫でてしまいたくなる。
    わずかに開いた口元に 舌を差し入れたくなる。

    アンドレの頭によぎる それらの情念はやがてあらぬ妄想へと彼を駆り立ててしまう。

    それを振り切るようにアンドレは強く頭を振り 彼女に背を向けて食事を始めた。

    「うう…ん…」
    オスカルが寝返りを打つとアンドレがせっかく掛けた掛布が落ちてしまった。
    秋の夕暮だというのに まるで熱いと言わんばかりに 足を開く。

    その上、ゆっくりと膝を立て始めた。さらに体をくねらせ もう一方の足の膝も立てたのだ!

    アンドレはもう 食事処ではなかったが 
    必死でサンドイッチにかぶりつき 目をそちらに向けまいとした。

    足を組んで必死に息子を宥める。

    「ゲホゲホ…ゴホ…」
    あんまり めちゃくちゃな食べ方をしたのでむせてしまった。

    「うん…帰ったのか アンドレ」
     アンドレのむせる声に オスカルは目覚め 体を起こした。

    まだ 覚め切らぬ瞳は潤み 目じりには少し涙がにじむ。
    それを擦って欠伸をすると 胸元が隆起し 
    緩めていた襟元からふくらみがちらりと見えそうだった。

    うーんと立ち上がって伸びをすると オスカルのシャツの裾が持ち上がり
    オスカルの下着が見え隠れした。

    「どうでもいいが ズボンくらいはいていろ」
    顔はそっぽ向いて 目だけ カモシカのように 白くしなやかな足を追う。
    「いいだろ ズボンをはいて寝ると苦しいんだ」
    オスカルは腰に手を当てて 怒ったように言った。

    アンドレは無視して サンドイッチにかぶりついた。こうでもしないとやってられない。
    わきあがるものを 食欲でごまかすのだ。

    そんな努力も知らず オスカルはずかずか近寄り アンドレのワインの瓶をひったくった。
    「あっ それ おれの」
    アンドレがいい終わらないうち オスカルはもうビンの底を上に向けて 飲み始めてしまった。
    上向いた咽喉元が 流動する。口元に漏れたワインを手の甲で拭う。

    「ほら、返すよ けち臭いこと言うな」
    渡された瓶を乱暴に受け取り アンドレも一気に飲んだ。

    「ゲホ ゲホ …」

    「ばか 何やってんだよ」
    そう言いながらも オスカルは心配そうに 傍に来て背中をさする。

    ―そうだ おれ 何考えてるんだ

    オスカルのいつもと変わらぬ態度に 幾分気を取り直した。

    オスカルはアンドレが落ち着いたのを見ると 
    傍に置いてあったズボンをはいて べッドに座った。

    (つづく)
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