袖すり合うも多生の縁<21>

    「ただいま 帰りました。」
    家に帰ると 母上に帰宅の挨拶に行った。
    母はいつもの笑顔でいつもの挨拶をしてくれた。
    「おかえりなさい。オスカル。今日はどうでしたか?何かいいことがありましたか?」
    「いいえ 母上…」
    オスカルの返事は上の空だった。

    いつものように開けた母の部屋には 見慣れない男の子がいたからだ。
    「オスカル アンドレですよ。御挨拶なさい」
    「あ…」
    ぼっと アンドレに見惚れていたオスカルは  はっと我に返った。
    「オスカル・フランソワです。よろしく」
    「アンドレ・グランディエです。お世話になります。」
    にこっと笑う。

    「アンドレはこれから この屋敷で暮らすのですよ。オスカル 仲良くできますね。」
    「もちろんです。母上!」
    あはっとオスカルは笑うとアンドレに駆け寄った。
    「ねぇ 君はサッカー出来る?野球は?」
    「えっ 野球はやったことないけど サッカーなら…」
    「なら 今からやろうよ!」
    「えっ!」
    返事も聞かず オスカルはアンドレの腕を引っ張って行ってしまった。

    あっけにとられて見ていた 母とばあやであったが 
    互いに目を合わせると ぷっと笑い出した。

    オスカルはスキップしたい気分だった。
    アンドレは同い年と聞いていたが 自分より背が高く 大きな体をしていた。
    それにハンサムだ。ルックスとしては 理想のお兄さんとして合格だ。

    庭にサッカーボールを持って出ると 軽く蹴ってアンドレにパスを出した。
    アンドレはそれを軽々返して寄越す。今度は強く蹴ってやる。
    それも上手く受けてオスカルの蹴りやすいようにパスを出す。

    "こりゃいいや"

    オスカルは夢中になって ボールを蹴る。
    アンドレは機敏に動いて それをオスカルに返してくれる。
    オスカルはそれならと蹴り上げてみた。
    当然落ちてくるボールをヘディングして受けてくれると思ったのに 
    アンドレはそれをよけて 落としてバウンドをさせて 足で返してきた。

    "なんだ こいつ 弱虫なのか"

    なんどか 同じことをしたが アンドレはどんなボールも地面で受けてからしか蹴りださない。

    「おい!おまえ なんでヘディングとか胸で受けるとかしないんだ?ボールがこわいのか?」
    「違うよ 今おれ汚しちゃいけない服を着てるから」
    「汚しちゃいけない服?」
    「うん この服は お出かけの時とか 特別な時に着る服なんだ」
    「ふーん」
    オスカルの目にはそんなに特別な服には見えなかった。
    「じゃ 着替えてこいよ」
    「うん あの…」
    「なんだ?」
    「おれの部屋 どこかな?」

    アンドレは奥さまに到着の挨拶をしていたところを 急に連れてこられて 
    まだ 自分の部屋も見ていなかったのだ。

    (つづく)
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