わたしの気持ちー6-

    わたしは殺されるところだったのか。床に残ったガラスの破片は
    血の色のワインの中で哀しげに光っている。アンドレの気持ちみたいに。
    透き通ってきれいで 血の海でくだけてしまった。
    哀しいカケラ

    "ほかの男の手に わたすくらいなら 射殺されてしまったほうがましだ!"

    "アノトキ"の言葉は嘘ではなかった。
    そしてわたしも一緒に連れて逝ってくれようとしていた。
    ふたつのグラス 最初に手にしたのはわたし。
    つまりどちらにも毒が入っていたということ。

    "良かった アンドレはわたしをひとりにはしないつもりなんだ"

    殺されるかもしれない恐怖と共に不思議な安堵感を抱いた。


    "けれど わたしはアンドレをここまで追い詰めてしまっていたのか・・・"
    気が付かなかった。アンドレがこの騒動について何もしてくれないので 
    彼の気持ちを疑ってイライラしていた。

    わたしはアンドレを待った。アンドレは代わりのワインを持ってきてくれると言ったから。
    信じて待ちたかった。

    戻ってきた彼は以前のような 優しい笑顔を浮かべていた。
    ここ最近こんな顔の彼を見たことがなかった。
    嬉しくなって 夢中で話をした。彼との楽しい思い出は尽きることがない。
    改めて共に過ごした時間の確かさを感じた。
    これからも二人の時間はずっと続いていくのだと胸が熱くなった。

    思えばわたしは自分の事ばかりで 周りの気持ちを深く理解しようとしてこなかった。
    表面だけにとらわれて その奥にある思いに気付けなかった。
    それが分かってようやくこの結婚話を終わらせる事が出来た。
    ジェローデルにも誠意を持って気持ちを伝えた。

    「愛して・・・いるのですか・・・」
    ジェローデルにそう言われても わたしには分からなかった。
    アンドレはそういうものではない。アンドレ自身もそう言っていた。
    結婚できるとも自分のものにできるとも考えていないと。
    ただ彼は 他の男のものにならないでくれとわたしに願った。
    ジェローデルは身をひいてくれた。

    これで良かったのだ。例えジェローデルと一緒になって彼の愛のもと
    平凡な女の幸せを手に入れても きっとわたしはアンドレを探してしまう。
    アンドレと過ごした日々をわたしは忘れる事はできない。アンドレを失いたくない。

    これでまた 前に戻れる。一人の女としての幸せがなくとも アンドレとまた軍人として生きよう。
    アンドレと一緒なら大丈夫。そう思っていたのに。アンドレはそうではなかった。
    ジェローデルが去ってから 彼は落ち着きを取り戻した。
    前と変わらず有能な片腕としてわたしを助けてくれる。けれどわたしを避けている気がする。
    暇ができるといなくなってしまうのだ。兵舎内でも屋敷でもふといなくなってしまう。
    ふらふらその辺を歩き廻っているのだ。べつに業務に支障はないのだけれど。
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    青林

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