袖すり合うも多生の縁<24>

    まずはリップグロス作戦から
    れいの今一番人気のグロス 恋する唇シリーズ 
    チェリーピンクのその名も"さくらんぼのいたずら"を購入。
    歯を磨いて 息をはぁと手の中にだし 匂いを確かめる。

    鏡の前で入念にチャックをし いよいよグロスを指先で 塗ってみた。
    はじめは付け過ぎて なんだか油ギトギトな感じがしたので 
    拭き取って もう一度薄く塗ってみた。
    友達が付けていた時より薄いが それでもほんのりピンクに染まった。

    「よし!」
    オスカルは拳を握り 腕に力を込めた。
    最近習い始めた 空手の突きの型をやると 勇気が湧いた。
    勇んで アンドレの部屋に向かう。

    「入るぞ」
    返事を待たず 部屋に入るとアンドレはべッドでうたたねをしていた。
    顔の上には科学の教科書が乗っている。そういえば 明日は科学のテストだった。

    "チェ!せっかく気合入れてきたのに…"

    オスカルは教科書を取り上げると パラパラ見だした。
    几帳面なアンドレらしく 丁寧に色分けしてラインが引いてある。
    所々、注釈もついている。
    赤い下敷きがべッドの下に落ちていたので ひろって教科書に乗せる。
    そうすると 赤いラインで引いたところが見えなくなり 
    虫食いのようになり 即席の問題集になるのだ。

    オスカルはそれを解いてみたが すぐに飽きてしまった。
    どれもこれもすでに暗記したものばかりだ。
    オスカルの教科書は新品のように 綺麗なままだった。

    横でスヤスヤ眠るアンドレ 無防備な姿に悪戯心が起きる。
    鼻をつまんでやると 顔をしかめ 「ふにゃ?」と意味不明なうめき声を上げた。

    今度はさっきより強く摘まんで左右に振ってみた。
    「ふにゃにゃぁぁ…」
    またも意味不明な声を上げて アンドレが手で顔の前を払おうとしたので 
    オスカルは慌てて 手を放した。

    アンドレは手で自分の顔を撫でて 目を擦り ちらりと開けた。
    「わっ!」
    目の前に真っ赤な顔があったので 飛び起きた。

    「なんだ オスカルか…」
    「びっくりしたか」
    嬉しそうに赤い下敷きの陰から オスカルが顔を出した。

    "あれ?"

    オスカルがいつもより可愛く見える。目を擦ってみる。 やっぱり可愛い。
    いつもそのまんまの短い金髪が 今日は耳が出るように 
    サイドの髪を持ち上げて可愛いピンで留めてある。
    それに それに その唇…

    濡れたようにしっとりとして 誘うように淡く色づいている。
    じっと見つめているとオスカルが目を閉じて 顔を寄せてくる

    えっと… その… これは…

    動揺して後ずさりするが オスカルはどんどん近づいてくる。
    やがて壁に背中が付いてしまった。
    あたふたした手に さっき食べていたグミの袋が当たった。
    アンドレは思わずひとつ摘まむとオスカルの唇に押し付けた。

    「んっ?」

    怪訝な顔して オスカルが目を開ける。
    くちびるに刺さったものを手で受けて確かめると さくらんぼのグミであった。
    「よくわかったな。オスカル おれがグミ持ってるって」
    冷や汗を隠しながら 嘘っこ陽気な声でアンドレは言った。

    "こっこいつは!!!"

    オスカルの中に怒りが込み上げる。
    「ああそうだ!おまえの隠し事なんか 何でもお見通しだ!」
    そう言うと グミの袋を取り上げ 乱暴に中身を握れるだけ握って 口に頬張った。
    「あ!何すんだよ!返せ!」
    「いやだ!」
    べーっと舌を出すとオスカルはグミをもったまま 出て行ってしまった。

    「あいつ 何しに来たんだ?」
    一人残されたアンドレは心臓をドキドキさせて 立ち上がってしまった己のモノに手を添えた。
    「おれは こんな危険な男になってしまっているんだぞ。もう困るんだよ」
    一人苦悩した。

    アンドレの部屋を出て自室に戻ったオスカルは 羽枕に八つ当たりしていた。

    "くそー!アンドレのやつ。グミなんか押しつけやがって!"

    やっぱり あいつはまだ子供なんだ。
    色気より食い気のお子ちゃまなんだ。くそ!グロス代返せ!!

    それでも オスカルは諦めきれない。
    今は子供でも アンドレがいつ男に目覚めるかもしれないのだ。
    その時 自分が相手じゃあなかったら困る。

    (つづく)
    スポンサーサイト

    コメントの投稿

    非公開コメント

    sidetitle最新記事sidetitle
    sidetitleプロフィールsidetitle

    青林

    Author:青林
    ”ベルサイユのばら”の二次創作サイトを作っています。ぜひ遊びに来て下さいね。

    青林サイトへ

    ただいま、コメントへのお返事は基本的にはしておりませんが、頂いたコメントは大切に読ませていただいています。ありがとうございます。

    sidetitleカレンダーsidetitle
    09 | 2017/10 | 11
    1 2 3 4 5 6 7
    8 9 10 11 12 13 14
    15 16 17 18 19 20 21
    22 23 24 25 26 27 28
    29 30 31 - - - -
    sidetitleカテゴリsidetitle
    sidetitleリンクsidetitle
    sidetitle月別アーカイブsidetitle
    sidetitle検索フォームsidetitle
    sidetitleQRコードsidetitle
    QR