袖すり合うも多生の縁<29>

    トゥルル…携帯が鳴った。着信はアンドレと表示されている。
    オスカルは 胸に手を当てて 深呼吸をしてから 電話に出た。

    「オスカルだ。」
    「おれだ アンドレだ。さっきはごめんな せっかく電話をくれたのに」
    「いいんだ。忙しいんだろ。TV見たぞ」
    「TV?」
    「ジャポンにいるんだろ。ボランティアで」
    「なんだ スイスでも放送されていたのか。何局か取材がきていたが」
    「いい男に映っていたぞ おまえ」
    「本当に?でもその他大勢と一緒に豆粒みたいにだろ」
    「いいや。けっこう大きくだ」
    「そうか…ちょっと照れるな。」
    アンドレは見栄えがいいから きっといい被写体だと思われたのだろう。

    「なあ オスカルおまえ本当に平気なのか?」
    「何が?」
    「いや… なんか様子がさ」
    「ぼくは大丈夫だ。アンドレが元気で頑張ってるの見たからな」
    「無理するなよ。」
    「わかってる」
    その声はいつものオスカルの声だったので アンドレは少し安心した。

    「おれは 高校に入って ベルナールって友達ができたんだけど 
    こいつがとんでもなく熱いやつでさ。おれはついにジャポンまできてしまった」
    「ほぉ…」
    「とにかく 社会派な奴で 休みの度にあちこちの活動に引っ張りまわされてるんだ」
    「大変だな。」
    「まあな だけど 一度来てみたかったおばあちゃんの祖国にこれたんだから まぁ、いいか」
    「そうか アンドレは四分の一ジャポンの血が入っているんだったな」
    「うん。それで日本語もおばあちゃんから聞いて 少しは分かるから 
    余計に頼られて忙しいんだ。お前の方はどうなんだ?」
    「わたしも友達が出来て仲良くやっている。」
    その言葉にアンドレの胸がチクンとした。

    「男か?」
    わざと おどけて聞いてみる。
    今度はオスカルの胸がチクンとする。
    「そうだ」
    受話器の向こうで声がしなくなった。

    数秒待って返事が無いのでオスカルからしゃべり始めた
    「うそだ。女の子だ。」
    「ふざけるな!つまらない悪ふざけはよせ!」
    いきなり怒鳴られて オスカルもカッとする。
    「怒鳴るな!耳がいたい!」
    また数秒沈黙があった。

    今度はアンドレから言い出した。
    「悪かった。ごめん…」
    「大したことではない。あやまるな。」
    「クリスマス休暇には帰ってくるだろ?」
    「そのつもりだ」
    「じゃ それまで元気でな」
    「アンドレも」

    切らなきゃ 沈黙が続く。

    アンドレから切ってくれ。頼む。ぼくには切れないよ。

    通話は繋がっている。
    しばらくして"チュ!"とちいさな音がして通話が切れた。

    (つづく)
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