袖すり合うも多生の縁<36>

    次の日 さっそくオスカルは新しいシャツと下着を購入した。
    さすがに下着をつけないというところまではできなかった。

    鏡を使って 映画を見ながら練習を重ねた。
    色々なパターンを想定して もしもの時にも備えた。

    例えば 自分が横になる前にアンドレが部屋に入って来たら 伸びをして 
    この真新しいレースの下着をちらつかせるのだ。

    作戦決行の日。彼の帰宅時間よりだいぶ早く部屋に入った。
    警備の経験上 作戦の成功はいかに早く
    現場の空気を味方に出来るかということがカギだと知っている。
    それに何かで予定が変更になり 帰宅が早まる可能性もある。

    ドキドキしていると 彼の足音がした。まだ 予定よりだいぶ早い。早めの準備が功を奏した。

    べッドの上で寝たふりをする。足がスースーして 落ち着かない。
    それでも 縮こめていた足を伸ばして 予定のポージングを取る。

    ドアが開き やがてアンドレが近づく気配がする。

    "あっ そんな… 始めは遠目に眺めるだけじゃないのか?
    どうしよう?どうしよう?"

    オスカルが固まっていると ふわりと掛布が掛けられた。

    "うっ やっぱり 妹か"

    アンドレにしてみれば 寝相の悪い妹が
    布団はだけて寝ているくらいにしか見えていないのだろう。

    "しかし ここでひるんでなるものか!"

    オスカルは寝返る振りして 掛布を落とし 予定の行動に移る。足を立てるのだ。
    羞恥心を振り払い あらん限りの勇気を出して 練習の成果を出そうと頑張った。
    目を閉じているので アンドレが見てくれているのかわからないのが不安だ。

    「ゲホゲホ…ゴホ…」

    アンドレがむせる声がした。目を細くして見ると 

    はぁ?!なんと!?彼は食事をしているではないか!

    年頃の女性が こんな姿でいるのに何を呑気に食事などしているのだ?
    作戦失敗だ。今後気まずくならないための "撤退作戦B"つまりさりげなく 
    "今起きましたよ作戦"を決行するのだ。

    オスカルはあたかも今起きたかのように 目を擦り 立ち上がり思い切り伸びをする。
    可愛いレースの下着が見え隠れするように。

    ほら ほら ほら …

    だが 無情にも

    「どうでもいいが ズボンくらいはいていろ」

    カァァァァァ

    なっ! 

    ふざけるな!わたしの足が見苦しいとでもいうのか?!

    アンドレは澄まして 食事を続けている。頭にきたので ワインを取り上げてやった。

    グビグビ… はぁー

    一気に飲んで 一息つく。

    ワインの瓶を返しながら だんだん ばかばかしくなってきた。
    アンドレは相変わらず わたしには目もくれず もくもくと旺盛な食欲を見せている。
    食べるのに夢中でむせているくらいだ。

    こうなると自分の姿が滑稽で情けなくなり ズボンをはいた。

    その後、いつものように 会話が続き 何事もなかったように
    「おやすみ」とあいさつを交わしてアンドレの部屋を出た。

    それから日々が過ぎロンドンに行ってフェルゼンに会ったり 
    建国記念日のテロが起きたりした。

    そして今日アントワネットさまに謁見をしたのだ。
    アントワネットさまには 『あなたが 思っているほど 
    あなたのアプローチはアンドレに届いていないのかも知れなくてよ。
    ここははっきり言わないといけないのかもしれないわ。』と言われたが、
    今までを振り返るとずいぶん 大胆にやってきた気がする。

    『いつか誰かが彼と結ばれるのはいやなのでしょう?』

    また、アントワネット様の言葉が甦る。
    "となりの君と僕 作戦"が失敗したらあきらめるしかないと思っていたけれど 
    やっぱり諦めきれない。
    となれば残る手段はもうひとつしかないのではないだろうか…

    オスカルは今年のクリスマスにそれを実行することに決めた。
    これがダメなら ほんとうに 終わりになってしまうだろう。

    (つづく)
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    Re: いろいろですね。


    エピソード考察 読んでいただきありがとうございました。

    >・・・〝感じて〟〝考えて〟〝行動していった〟・・・
    そうそう、本来はそんな感じですよね。オスカルさまも「フェルゼン…おまえのそんなことばをきくと なぜか胸を刺されるようだ……どうしたというのだろう……」と言っていらっしゃいました。そして、想いは苦しいくらいに募ってあの切なくも美しい一夜限りの貴婦人になられるのですよね。それなのに…

    >実体となってフェルゼンと踊られてしまうとなると、ちょっと待て、とてもじゃないが 諦められないぞ!と、納得出来ないのではないかと…

    あははっ…そうですよね。あれじゃ、オスカルさま諦められませんよね。この際、時代考証だの何だのはいいから、元通りワルツを踊らせてあげたいですね。なので、勝手にエピソード7のあのシーンは「おお…!こんなところにおられたか 次の曲が始まります」の次の曲はワルツでフェルゼンに手を取られた後、ちゃんと踊っていたと脳内で改ざんしちゃうことにしました(笑)だってそうしないと「フェルゼンの腕わたしを抱いた…」という感じにならないですから(笑)

    確かに今までになく、いろいろな意見が飛び交う エピソードでした。
    それだけ いろいろな解釈が出来るということですから、おっしゃるように新たな妄想のタネが沢山あるかもしれないですね。

    「袖振り合うも…」のアンドレ、勘違いはまだ続きますよ(笑) 続き、よろしければ読んでくださいね。

    コメントありがとうございました。

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    Re: No title


    ご心配をおかけしてしまっていたのですね。
    すみませんでした(≧≦)
    もっときちんとお話しておけば良かったですね。

    何も心配はいらないのですよ。
    というのも すでにわたしはいろいろやらかしているからです。
    もしお取り潰しになるならとっくになっています(笑)

    エピソード5の時は絵まで描いておちょくるような記事を書き
    エピソード6の時は「一歩間違えば 強姦だわ」と暴言を吐いているのですから。
    SSにしても 3PありBLありとやりたい放題ですし、
    そうです「オペラにお金が要るわね~」発言もやらかしました(笑)

    だからいまさらなんですよ あの発言。何か問題になることはありません。
    絶対大丈夫ですp(*^-^*)q

    後編のカラーページですが、私はあのページの雰囲気に合わせてピンクに塗られたのかなと思いました。エピソード5とエピソード2ではジェロさまの髪の色が違いますし、過去のカラーイラストでも アンドレが緑の髪と瞳に塗られていたり、オスカルさまの髪が白っぽく描かれているものがありました。そういうのと同じかなと思っています。

    考察も全部読んでいただき、コメント欄まで目を通していただいているのですね。
    ありがとうございます。
    エピソードは今後も続くようなので私も楽しみにしています。

    コメントありがとうございました。
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