袖すり合うも多生の縁<40>

    アントワネット様とフェルゼンの結婚式の準備が始まった。
    慌ただしく準備に追われるアントワネットを警護するオスカルもまた 多忙になった。
    入れ替わり立ち替わり 様々な人たちが出入りする。
    あやしい者が入り込まぬよう細心の注意を払わなければならない。

    けれど そんなことお構いなしのアントワネットは 花嫁衣装や 小物を夢中で選んでいる。
    今まで華美なものを好まないと オスカルは思っていたのだが、そうではなかったらしい。
    「オスカル どうかしら?」
    鏡を見ながら アントワネットは尋ねる。女心を理解し始めていたオスカルにはちゃんと

    "フェルゼンは美しいと思ってくれるかしら"

    という彼女の心の声が聞こえていた。
    「はい とても良くお似合いだと思います。フェルゼン殿も喜んでくださるでしょう」
    そう答えると 頬を赤らめてアントワネットは喜ぶのだ。

    結婚を控えた 女性というのは こうも変わるものなのだろうか?
    愛しい男性に 美しい自分を見て欲しいそう思う気持ちはオスカルにも理解できる。
    自分もかつて そう思い努力した。実を結ぶことはなかったけれど。

    日に日にアントワネットは美しくなっていく。
    最近はロザリーもそうだ。

    なんだか わたしだけ 置いてけぼりだな。
    オスカルは心から二人の事を祝福していたけれど どこか寂しかった。

    やがて クリスマスがやってきた。
    いつものようにオスカルもアンドレも 王家のクリスマスのミサの警護をしていた。
    昼から降り出した雪は 夜になっても止まなかった。
    厳かなミサの進行を見守りながら オスカルはだんだん 胸が高鳴るのを感じた。

    数日前、オスカルはあるジュエリーショップの前で 行ったり来たりしていた。
    最後の手段を使うと決めたのにいざとなると 尻込みしてしまう。

    "よっ…よし!いつまでもこうしていては仕方ない。入るぞ。
    あっ しかしな… やっぱり 女からこういうことをするのは おかしいだろうか?
    いや! 散々考えた結果ではないか 今日しかもう時間がとれないんだぞ。いやでも…

    そうだ! 店にぴったりの品があれば 決行しよう。
    なければそういう運命なのだとあきらめよう。"

    オスカルはそう決めて 店のドアを開けた。
    真っ先に目に入った品はまさにオスカルが求めていたものだった。

    万事窮す

    もう逃げられない覚悟しよう。
    「これください」
    「贈り物ですか?」
    「ええ クリスマスの特別な贈り物なのです。」
    店員はにこやかな笑顔で それを綺麗にラッピングしてくれた。
    「神のご加護を メリー・クリスマス きっと素敵なクリスマスになりますよ」
    「ありがとう あなたも良いクリスマスを」
    オスカルは自分の運命を託した "特別な贈り物" を大事にカバンにしまった。

    (つづく)
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