袖すり合うも多生の縁<42>

    アンドレが固まった。
    "今 こいつ 何て言った?何て言った?"

    「オスカル おれも頼みがある! もう一度言ってくれないか?」
    「聞こえたのだろう。二度と言えるか。返事は急がない。よく考えてくれ。」
    「いや 頼む よく聞こえなかった。もう一度言ってくれ。」
    縋るようにアンドレはオスカルを両手でつかんだ。
    「たのむよ~」

    うるうる目で懇願してくるアンドレに負けて オスカルはしぶしぶ言った。

    「おまえを…あ…あい…してる。結婚してくれ!」
    吐き捨てるように言うと 突然アンドレは両手を広げてオスカルを抱きしめた。
    「ああ! オスカル…オスカル… おれも愛してる!ずっとずっと 愛していた!」

    その言葉に オスカルはカチンときた。
    両腕をアンドレの胸に突っ張らせて体を離し怒鳴った。

    「嘘をつくな!」
    「えっ?」
    「ずっと 愛していただと?ふざけるな!わたしを女として見てくれていなかったくせに!」

    ????

    キョトンとしているアンドレにオスカルは今まで溜まりに溜まっていた うっぷんをぶつけた。
    「いいか アンドレ わたしはだな 散々おまえにアプローチしてきたのだぞ。
    それなのにおまえは一度たりとも 反応しなかったではないか!!!!」

    ????おれにアプローチ? いつそんなことが???

    オスカルは怒りのあまり 涙が溢れてきた。
    「わ… わた… わたしは最後には 遂に 下半身の露出まで してしまったのに…」

    「!」

    やっとアンドレの脳裡に 思い当る出来事が浮かんだ。

    「それなのに… それなのに… おまえは欲情するどころか 
    わたしに掛布を掛けて せっせと 食事なんかして…」

    わんわん泣き出したオスカルを アンドレは抱き寄せようとしたが オスカルは逃げてしまう。

    「おまえなんか… おまえなんか…」
    「たしかにおれが悪い。そうだよな。いくら何でも女性が ズボンもはかず
    男のベッドで待っていたんだ 気づいてやるべきだった。
    だけどな だけどな オスカル。
    おまえ いっつも ズカズカおれの部屋で 寛いでいるから 
    そんなつもりだったなんて 気づかなかったんだよー」

    「くそ! この後に及んでわたしのせいにするのか!
    わたしはあの日の為に新しい下着やシャツ 化粧品に700ユーロも使ったんだぞ。
    チラ見せできる丁度いい丈のシャツを探すのにどれだけ苦労したか…」
    オスカルは アンドレの襟を掴んで顔を近づけた。
    サファイヤの目が燃えるように怒っている。
    「わー ごめんなさい!ごめんなさい!」
    「あの時だけではない。わざと濡れたり、腕にしがみ付いたり バナナ食べたり…」

    "それって それって おれが必死に息子を抑えつけてきた 数々の出来事は
    実はおれへのアプローチだったというのか?!

    ああ 何てもったいない! 父さんは愚かだった!
    ちゃんと息子の言うことを聞いていれば… ごめんよ 息子よ。
    これからは思う存分おまえを解放してやれるぞ!"

    まだ背を向けて 怒りに震えているオスカルを力付くで抱き寄せる。

    「はっ…放せ!!」
    「すまなかった。オスカル。いまから埋め合わせをするよ。いや、させてくれ」

    そういうと 返事を待たずに 唇を重ねた。それでもオスカルは抵抗する。
    けれど 本気のアンドレの力を振り払うことはできなかった。

    しだいに 怒りが愛しさに代わる。力が抜けてしまう。
    緩んだ口元に彼は入り込み 淫らな音を立てる。

    その唇は咽喉元を這いだし 彼の手はオスカルの衣服を剥ごうとした。
    オスカルの胸のあたりを男の手がはい回る。

    身がすくむ。初めてアンドレが怖いと思った。

    「い…いや…だ」
    「優しくするよ ごめんな 今まで気づいてやれなくて…」
    「いやだから そうじゃなくて…」
    「愛してる~」
    ガバッと襲い掛かるアンドレを 思い切り突き飛ばす。
    「やめろと 言ってるだろ!」
    「えっ?」

    「あの…つまりだな…」
    乱された衣服を直しながら オスカルは体中の血液が沸騰するのを感じた。
    「その…女にはだな。色々準備が必要なんだ。それにこんな車の中でなんて…」

    恥じらうオスカルにアンドレは はっとする。
    「そうだな こんなところでは 誰に見つかるかわからないし…」
    「すまない 時間をくれ 」
    「分かった でも…」
    アンドレの手がオスカルに伸びる。
    オスカルが反射的に身を引くが 狭い車内では逃げられない。

    彼の手はオスカルの頭を優しくなでる。
    怯えるオスカルの表情にアンドレはまた悪いことをしたと感じた。

    けれど 撫でられながら オスカルはしだいに体の力を抜いて 
    自らアンドレに抱き付いてきた。

    「長くは待たせないから…」
    「うん… なるべく 早く頼む」

    恐る恐るアンドレはオスカルの背中に腕を回した。
    そして ほんの少し力を入れて抱きしめた。

    「愛している アンドレ…」
    彼の胸に顔を埋めて 愛しい女はそう呟いた。

    (つづく)
    スポンサーサイト

    コメントの投稿

    非公開コメント

    このシーン

    サイトの方で読んだときから大好きなシーンです!
    でもなぜかkidsの3頭身のふたりで脳内再生されます(≧∇≦)b

    Re: このシーン

    大好きと言っていただけて嬉しいですo(^▽^)o
    ロマンチックなプロポーズではありませんが、こういうノリが結構好きです。
    アンドレ君とオスカルさまはギャグでもシリアスでもファンタジー(笑)でも何でもこなせる万能キャラですね(*´∀`人 ♪

    sidetitle最新記事sidetitle
    sidetitleプロフィールsidetitle

    青林

    Author:青林
    ”ベルサイユのばら”の二次創作サイトを作っています。ぜひ遊びに来て下さいね。

    青林サイトへ

    ただいま、コメントへのお返事は基本的にはしておりませんが、頂いたコメントは大切に読ませていただいています。ありがとうございます。

    sidetitleカレンダーsidetitle
    05 | 2017/06 | 07
    - - - - 1 2 3
    4 5 6 7 8 9 10
    11 12 13 14 15 16 17
    18 19 20 21 22 23 24
    25 26 27 28 29 30 -
    sidetitleカテゴリsidetitle
    sidetitleリンクsidetitle
    sidetitle月別アーカイブsidetitle
    sidetitle検索フォームsidetitle
    sidetitleQRコードsidetitle
    QR