袖すり合うも多生の縁<45>

    結局 アンドレとオスカルが結婚したのは 
    アントワネット様の式から2年もたってからだった。
    屋敷に近い子供の頃から通っている教会で式をあげた。

    「あなたたちは いずれこうなると感じておりました」
    かつては青年だった彼が貫録のある司祭になり 子どもだった自分達が 大人になった。
    この教会は この教区の人々の成長をもう何百年も見守り続けているのだ。

    そして 式の後はジャルジェ家の庭で お披露目のパーティーを開いた。
    沢山の友人に混ざって アントワネットさまとフェルゼンもこっそり参加していた。
    メガネをかけて一応変装はしているのだが バレバレである。
    それでも気づかない振りをみんなはしてくれた。

    新婚旅行はジャポンに行った。
    「前 ボランティアで来た時の紅葉も綺麗だったが 
    やはり桜は格別だな。おばあちゃんが言った通りだ。」
    満開の桜を見上げながら アンドレは感嘆の声を漏らした。
    「アンドレが私にくれたペンの絵柄も 確か桜だったな」
    「うん おばあちゃんが好きだった花だ。
    ただ 庭木には向かないので 家には植えていなかったが」
    「不思議だな。こんな遠くの国に生まれた女性が ヨーロッパで結婚して 
    その孫が再びこの国を助けに来るなんて」
    「おいおい 助けるだなんて 大げさな。
    高校生のボランティアなんて たいしたことは出来なかったよ。」
    しばし 二人で並んで桜を眺める。

    「そう言えば おばあちゃんが言っていたな。ジャポンにはこんな言葉があるって」
    「うん?」
    「『袖すり合うも多生の縁』
    例え衣服が触れ合うような些細なことでも偶然ではなく この世に生まれてくる前の 
    何度も生死を繰り返しているうちにできた因縁によるものという意味らしい。
    だから 大切に人生を生きなさい 
    それはきっとどこかでつながるからってよく言われたよ。」
    「そうか…」
    「だから きっと おばあちゃんがおじいちゃんと結婚してヨーロッパに渡ったのも 
    こうしておまえとおれがジャポンで並んで桜を眺めているのも偶然じゃないんだろうな。」
    「うん わたしもそう思う」

    だとすれば フェルゼンとの出会いも偶然ではなく 
    もしかしたら わたしがフェルゼンに感じた何かは 
    過去世に関係があるのかもしれないと オスカルは思った。

    あれが何なのかは 結局わからなかったが 
    あれがあったから 再びロンドンに行くことになり 
    それがフェルゼンを我が国に来させる原因となって 
    アントワネットさまとフェルゼンが結ばれたことを思えば 
    あれは"過去からの贈り物"と言えなくもない。

    風が吹いて 桜が舞い散る。
    「ああ これが 桜吹雪か…」
    「本当だ 吹雪みたいだな」

    「アンドレ」
    「うん?」
    「生まれ変わってもまた おまえと一緒がいい」
    「おれもだ」

    二人はこうして同じ景色を 隣に並んで
    これからも 未来もずっと一緒に見ていきたいそう感じた。

    結婚後も二人は 共に軍人を続けた。
    生まれた男の子は喜んで ばあやと母上が育ててくれた。
    おかげで 実の両親より二人に懐いてしまった。

    ジャルジェ将軍も内孫が男の子とあって 張り切っている。これじゃ誰の子だかわからない。

    それでも 自分は幸せだと感じているのだから これでいいのだろう。

    「なぁ アンドレ そう思わないか?」
    「ああ おれもそう思うよ。幸せだなって…」

    アンドレはそっと オスカルを抱きしめた。

    FIN

    「袖すり合うも多生の縁」は これで終了です。
    お読みいただきありがとうございました。
    次回からは「約束していた言葉」を連載いたします。
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    ありがとうございます!

    ルイ王子、充実の人生を送られたようで安心しましたヽ(=´▽`=)ノ
    わたしのしょもないリクエストに答えて頂いて嬉しいです!
    ありがとうございました!!

    Re: 大団円


    おかげさまで連載も無事終わり なんとか皆、幸せになりました(笑)
    最後まで読んでいただきありがとうございましたo(^▽^)o

    次に連載する「約束していた言葉」はさらに長いお話ですが読んでいただけたら嬉しいです。

    アニばらは、本当に深いですよね。確かに他にはない感じです。
    見る度に新たな感動があって おっしゃる通りこの年になった今だから分かる部分があります。
    だから、わたしはきっとこれからも何度も見ちゃうんだろうなと思っています。
    素晴らしいアニメですね +゚。*(*´∀`*)*。゚+

    コメントありがとうございました。

    Re: ありがとうございます!


    こちらこそ、ありがとうございました(^_^)
    ルイ王子のその後を考えるのはとても楽しかったです。
    思わず、こんなのあったらいいなという自分の願望も盛り込んじゃいました(笑)
    冷奴様、いつもコメントや情報をありがとうございますo(^▽^)o
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