エピソード7 考察 ー6ー 女の心

    エピソード7のもっとも重要なテーマ「女の心」について

    初めて 謎の女性が現れたのは 父上と激しい剣の稽古に励んでいる時でした。

    同じジャルジェ家のお嬢様に生まれながら
    姉上たちはパリに優しい母上とお買いもの。
    自分はクソおやじ相手に 汗だく。

    子供心にほんの少し 姉上たちはいいなぁという気持ちが芽生えたとしても
    不思議はありません。

    けれど この時はそんな軽い気持ちだとオスカル自身は感じていました。
    まさか、その想いが具現化するほど 強いとは思いもしなかったので
    目の前に現れた 謎の女性を 姉上かしらと勘違いしたくらいです。

    それでも、冷や汗をかくくらい 何か嫌なものを感じたのです。
    そう 本当に軽い思いなら その想いが具現化などするはずはないのです。

    この時、オスカルは10歳。ちょうど生理が始まるなど女性の体に変化しつつある頃です。
    嫌が上でも自分は女で 男ではないのに 男のように生きなければならないことに
    心が不安定になっていたとしてもおかしくありません。

    幸い 男以上に仕事ができる程、凛々しく成長したオスカルは 
    父ジャルジェ将軍の威光もあって
    軍人として生きることに さほど苦しむことはなかったでしょう。
    ですから それから逃げるために女として生きたいと思ったとは考えにくいのです。

    だとすれば 軍人になった後のオスカルの女の心は 
    オスカルが女でなければ 叶えられない望みとは
    やはり 男性と愛し合いたいということになるのでしょう。

    次に謎の女性が現れたのは 14歳の頃。
    男性に興味を持ち始めるお年頃。
    その次は フェルゼンと出会った仮面舞踏会。
    フェルゼンを一目見て オスカルの胸は もしかしてときめいたのかもしれません。

    けれど 自分が男性と愛し合うなどありえないこと
    きっと 意識の表に出る前に 諦めていたのでしょう。
    けれど それは具現化し 目の前に現れたのです。
    しかも、この時、謎の女性は掴むことも 
    会話をすることもできるくらい存在感が増していました。

    それは オスカルの 女の心が 今までの淡い思いから 
    強い欲求に変わっていったことを表しているのかもしれません。

    フェルゼンの登場は オスカルの中に簡単に切り捨てることのできないものを
    芽生え始めさせます。つまり 諦められない想いが生まれたのです。

    その諦められない想いはどんどん膨らんで オスカルを苦しめます。
    そうなると 人は”もし”を考えてしまうのではないでしょうか。

    もし、わたしが 普通の女性として 彼と知り合っていたらと。

    これこそ いまさら考えても どうにかなるものではありません。
    時間は戻すことが出来ないのですから。
    つまり はじめから諦めるしかないことなのです。

    けれど これがきっかけとなったのかもしれません。

    もし、わたしが結婚していたら
    もし、わたしが子供を産んでいたら
    普通の貴族の女性として生きていたらと

    ふっと考えては 埒もないことと 諦めていたのかもしれません。
    それが謎の女性をどんどん成長させてしまうことになるとも知らずに。

    オスカルの中に生まれた女性として愛されたいという感情は
    自然自分を女性として意識する事に繋がります。

    そして それはオスカルの決して開けてはならない心の蓋を開けさせそうになるのです。
    それを絶対開けないために オスカルは自分の心に決着をつけるために
    あえて 女の恰好をし、女性の幸せの象徴フェルゼンとダンスを踊ろうと考えたのです。

    ここでフェルゼンを女性の幸せの象徴と書いたのは
    オスカルが フェルゼンを愛していると感じているのは
    自分の本心を誤魔化すためだと思うからです。

    本当に愛しているのであれば、 
    あの幻の結婚式のお相手はフェルゼンのイメージであったはずだからです。
    フェルゼンの事はこの段階では諦めていないので
    お相手にフェルゼン自身が出てくることはないでしょうが
    式事態は 貴族同志の結婚式ですから 
    華やかで祝福された感じのものであったはずです。

    仮面に包まれたお相手は決して 
    どんなことがあっても 自覚してはいけない 恋の相手なのでしょう。
    だからこそ 特に特徴のない一般的な貴族の男性の姿をしていたのだと思います。
    オスカルが諦めたのは その男性ではなく 結婚そのものだからです。

    無意識に遠ざけた男性。
    彼を諦めることなど 到底できはしないのですから
    彼が謎の女性と姿を現すこともないのです。

    いつもそばにいて欲しいのに 傍にいると気付いてしまいそうになる。
    だけど 遠ざけているのは 耐えられない。
    湧き上がる女の心を諦めてしまえば 前のようにまた付き合える。
    オスカルはドレスを纏いました。

    フェルゼンと踊って オスカルは一応 女の心に諦めをつけました。
    自分は男なんだと心に決めることで 
    また、アンドレといつも一緒に居られるようになりました。
    二人で毎夜、舞踏会に出かけ 黒い騎士を捕まえる作戦を
    二人で考えることが出来るようになりました。
    ふたりの関係は 以前のように 戻ったのです。

    それなのに アンドレは自分の為に負傷してしまいました。
    傷つくアンドレの姿に オスカルの女の心は大きく揺さぶられてしまいます。
    そばにいられなくて オスカルはまたアンドレと別行動を取り始めます。

    そして 黒い騎士をとらえ 自宅にかくまい一応落ち着いた頃
    オスカルはかつて 謎の女性が消えた辺りの鏡の前に立ったのだと思います。
    謎の女性が自分自身であるのだとうすうす感じていて 彼女に出会った場所の中で
    もっとも自分と相対できるであろう 全身が映るこの大きな鏡のある場所でなら
    彼女に会うことが出来るかもしれないと考えたのでしょう。

    私は後編のオスカルが鏡の前に立つ二つの絵の間に 
    実は時が流れているのだと考えています。
    剣が明らかに違うのです。

    最初の絵はおそらく フェルゼンと踊った後 実体を持つまでになってしまった自分の分身を
    放っておくわけにはいかないと思い 決着をつけようとしたのでしょう。

    ですが、この時は勇気が出なくて 鏡に手を付くことはできませんでした。
    自分は女の心を しっかり諦めたのだから 大丈夫もう現れまいと
    あえて対決する必要もないと思い直したのかもしれません。
    この時、オスカルはまだ気がついていませんでした。
    謎の女性は 自分が諦めた時にこそ存在するのだとは。

    けれど アンドレが負傷し 再び心がかき乱されたオスカルは 
    謎の女性と対峙することにしました。
    そして、二人は融合したのだと思うのです。

    何故なら、本編のオスカルはこの頃から 素直にアンドレに甘え始めるからです。
    暗い部屋の中から そばへきてくれと声をかけたり
    おまえがいないと なにもできないと言ってみたり
    肩に 胸に 寄りかかり 安らいだ顔を見せたりします。

    普通の女性なら この辺りで もう自分の気持ちに気づいてもいいようなものなのですが
    気付いてしまうと困ったことになっちゃうんですよね。

    ブラビリの時 オスカルが言った
    「それで・・・どうしようというのだ アンドレ・・・」
    という言葉の意味を
    おまえは自分で結婚できないと言っておきながら こんなことをしてどうしようというのだ?という風にとらえれば 結婚できないとお互い分かっているということになります。
    体を求めあうような恋愛にはするわけにいかないんですね。

    オスカルは恋愛経験が非常に乏しいようです。
    だから、オスカルは自分を愛してくれた女性たちと
    アンドレを同様に考えてしまったのかもしれません。

    ロザリーを代表とする いわば熱烈なオスカルファンは 
    たとえ結婚出来なくとも オスカルに抱きしめられたり 
    触れられたりすることを喜んでくれていましたから 
    アンドレも愛する自分に甘えられたら嬉しいだろうと単純に考えたのかも。

    世の男性陣が女性が傍に座ってくれたり、体を摺り寄せたりしたとき 
    デレデレしているのをオスカルも幾度となく目にしていたと思いますし。

    けれど、これはアンドレにとって この上なく残酷なことなのですが。

    ですが この残酷な仕打ちもけっして無駄ではありませんでした。
    オスカルは今まで諦めていた男性との恋愛を 
    本当に愛している男性と少しずつ始めていたのです。

    女の心を宿して…

    オスカルがこの頃から 複数の男性に想いを告げられるようになるのも
    これで 納得できますね。

    オスカルはこうした 経験を経て 新しい思想を学び
    望んでいた 女の幸せを手にすることができたのだと思います。

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