エピソード7 考察 ー9ー まとめ

    ご指摘をいただきました。
    池田理代子先生は連載当時すでにご結婚されていたそうです。
    不確かな事を書いてしまい申し訳ありませんでした。
    間違いを教えていただきありがとうございました。



    「ベルサイユのばら」本編が書かれたのが1972年 約44年の歳月が過ぎています。
    あの当時と今では 世の中の考え方 感じ方 価値観もずいぶん変わったのでしょう。

    それを感じたのは オスカルさまの死にざまを見た時でした。
    本編では 大義の為に命を懸け 英雄的な最期を遂げたオスカルさまでしたが
    今回のエピソードでは ただ 石畳に倒れておいででした。
    花が散ることも 彼女を慕う者の嘆きもなく。

    ですが これが今の時代には必要なことなのかもしれません。
    変に 死を美化し 公の為に命を捨てることに正義を見出す時代は
    終わらなければならないのかもしれません。

    かつて お国のためにと 命を捨てた特攻隊のような悲劇を繰り返さないために。

    世にあふれる アニメや漫画 ゲームなどは 
    簡単に人が死んでしまうものが多いのに

    実際に葬式などに出かける機会は減ってきている気がします。
    家族葬などが増え 兄弟が減り 親戚が少なくなったためでしょうか。

    リアルな死を知らず 架空のカッコいい死に憧れてしまうのは恐ろしいことです。

    池田理代子先生は 本編の頃から ルイ15世やディアンヌの死を 
    リアルにえがいていらっしゃいました。

    けれど 今回のオスカルさまの姿はそれとも違う。

    淡々としています。
    そこに死に対する 驕りも 侮りも なく 
    ただ、オスカルさまの心情だけが 淡く彩られています。

    死を恐れるあまり 自分の信ずる道を歩めないのはやはり哀しいことです。
    人類の歴史が 身命を賭した尊い人々の上にあることも理解しています。

    けれど これからは 命をかけなくても 正しいことを正しいと言える時代に
    なっていかなければならないのでしょう。

    大義の為に命を懸け死ぬことが素晴らしいのではなく
    その大義が実現することこそ 素晴らしいことなのですから。

    時代が変わったといえば 女性を取り巻く環境もずいぶん変化しました。
    今回のエピソードでジャルジェ将軍との会話に新たに加えられたセリフ
    「決して何かを諦めた結果ではない 自ら選びとった道でございます!」
    これもそれを感じさせるものでした。

    わたしはこの言葉の中に「仕事は生涯やり抜きます。
    だからといって 女の幸せを諦めたわけではありません。
    父上が勧めてくださる保身のための結婚はしませんが 
    自分が納得できる結婚であるならばしたいと思っているのです。」
    というような 意味合いを感じました。

    それではオスカルさまが納得できる結婚とは何か?
    これはオスカルさま自身がフェルゼン伯爵におっしゃっていました。
    「愛してもいないのに 結婚するのかフェルゼン!!」
    政略結婚が当たり前の時代にこれはかなり思い切った発言です。
    「では……愛していれば…… 愛してさえいれば結婚できるのか……?」
    こう、フェルゼン伯爵に切り返されて 
    オスカルさまはこの時は返す言葉がありませんでした。

    けれど 多くの苦悩を乗り越え オスカルさまは自身が信ずる結婚のあり方
    愛のある結婚をされました。
    本編の中でアンドレとの愛を確かめたオスカルさまは 
    ためらうことなく 結婚式を挙げようと彼に告げます。
    さらに体を許す行為は 契りでもありますが 本来、子供を授かるための行為です。
    オスカルさまは 命を大切になさる方、
    もし 子供が出来てもお産みになる覚悟で 愛し合われたのだと思います。

    つまり 結婚式も 子供を産み母になることも 諦めていなかったのです。
    その上で 武官としても 雄々しく生きられることを望まれ 果たされたのでした。

    現代であるならば 恋も仕事も両方望むのはむしろ当たり前と言えるでしょう。
    ですが おそらく 連載当時は寿退社などという言葉があるように
    結婚したら 仕事は諦めなければならないような空気感があったように思えます。
    本編の中でもジェローデルと結婚することは
    イコール軍人を辞めることとして話が進んでいました。
    その時代に 先のセリフをオスカルさまが口にしていたとしても 
    当時の読者にはピンとこなかったかもしれません。

    けれど池田理代子先生は連載当時から 
    結婚してもマンガを描き続ける意志がおありだったと思うのです。
    つまり 仕事と女の幸せは両立できるとお考えだったと思います。
    ですから オスカルさまはアンドレと結婚して さらに軍を率いて戦われたのです。

    時が流れて、結婚しても仕事を続けることに 世間はだいぶ理解を示すようにはなりましたが
    家庭の維持や育児と 仕事の両立は未だ難しい状況です。

    そんな今だからこそ オスカルさまの口からあのセリフが放たれたのだと思うのです。

    身の安全を図るために 自分の意志や望みを諦めるより
    リスクを取っても 諦めずに生きることの素晴らしさをオスカルさまは教えて下さいました。

    何故なら オスカルさまの選ばれた道は 
    究極のリスク「命を懸けて戦う」という軍人の道だったからです。
    そして そのリスクを被り 死の銃弾を浴びてもなお 悔いはないと言い切れるそのお姿に 
    自分が選んだ道を行くということの厳しさと尊さ
    それに伴う責任は自ら負わねばならないという覚悟をみたのです。

    そして エピソード7では その死に逝く姿を美化することなく描くことで
    女の幸せと仕事を両立していこうという女性たちが置かれている現実を
    まざまざとみせつけた気がいたします。

    このエピソード7で オスカルさまを女としての幸せを望んでいた
    一人の女性であると描くことで 特別な存在でなくとも 
    仕事を生涯やり抜くことを諦めなくてもいいのだと
    われわれ 普通の女性も 子供の為にとか 家庭の為にを言い訳にするのではなく
    諦めずにやりたいことをやってもいいのだと 教えてくださっている気がします。

    けれど現実は未だ厳しく相応の覚悟もいるのだと 
    オスカルさまの死にざまは示しているのですが。

    このエピソード7の真のテーマは「諦めない」ということをだったのかもしれません。
    47歳で音大に合格され 今なお マンガを描き続けられている
    池田理代子先生らしいテーマではありませんか

    さて、次回エピソード8はどのような展開になるのでしょうか?

    今までのエピソードは サイドストーリー的なものが多く
    本編の内容を補足する感じでした。

    けれど、エピソード7は 今までにない描かれ方をしていました。
    まったく新しい視点で 「ベルサイユのばら」をとらえ直し
    本編の多くの場面をなぞりながらも 受ける印象はだいぶ異なるものでした。

    それゆえ 今まで通り 本編の補足と受け取るもよし
    鏡の中の世界のように パラレルと見るのも面白いというように
    読者の好みで 無限の楽しみ方が出来る内容でした。

    謎も多く残されたままなので 読了後も考えさせられる感じでした。

    こうなると 今後のエピソードはまったく予測がつきません。
    次回はどうなるのでしょうか?今から楽しみ(恐ろしいw)です。

    池田理代子先生エピソード7を描いていただきありがとうございました。
    お体に気を付けていただき、今後もご活躍されることを願っています。

    エピソード7の考察は今回が最終回です。お読みいただきありがとうございました。
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    Re: ?


    間違いをご指摘いただきありがとうございました。
    さっそく、お詫びの記事を掲載いたしました。
    申し訳ありませんでした。

    コメント興味深く読ませていただきました。

    色々ご意見がおありなのですね。
    譲れないものがあるくらい、「ベルサイユのばら」を愛していらっしゃるのだと感じました。

    しかしながら、作品への感想は人それぞれ。
    わたしはエピソード7について感じたことをお話しているに過ぎません。
    先生の本当のお心のうちは先生にしかわからないでしょう。

    例えば、『オペラ活動の為にお金がいるわね。どうすればもっと売れるかしら?そうだ!ファンが食いつくのはやっぱりオスカル。それもレアな女装のオスカル。これでいきましょう。あっでも、なよなよしちゃうといけないから、気を強そうにしてっと。ついでにドキドキハラハラのサスペンス仕立てにしましょう。皆が大好きアンドレも入れてあげましょうね♡ついでにおフランスにも気を使っているとアピールしたいわ』と言う感じだったとしても、わたしは構わないのです。

    わたしがお金を払って買っているのは「ベルサイユのばら」の漫画だからです。そして、それを強要されているわけではなく、読みたいと自分が思うから買っているのです。

    それを読んであれこれ考え 私のブログを訪問される方にも聞いていただけたらと記事にしています。それをおっしゃるように「こじつけ」と感じられても構いません。実際私はアンドレが好きなので彼に有利な解釈に偏っていますから(笑)

    ただ、あなたには、新作を読まない権利もあるということは忘れないでください。どんなに気に入らないとあなたが思っても、私のようにそれでも読みたい読者がいます。

    世の中には、「どうしてこんなのがいいの?!」と驚くようなものが沢山あります。わたしには、リアルなゾンビのキーホルダーのどこがいいのかいまいち分かりません(笑)けれど それを喜んでつけている方の趣味をとやかく言うつもりはありません。

    池田理代子先生が漫画を描かれてそれを読みたい人が買う。
    それだけのことですよ。

    私達に先生の生き方に口を出す権利はありませんから(笑)

    深すぎる愛情は時として憎悪に転じてしまうことがあります。そして、それが凶器になってしまうことも。これは言い過ぎました。けれどあなたの文章の内容ではなく 書き方にその兆候を感じてしまったのは事実です。

    前のコメントでも書きましたが、世の中は自分の思うようにはなりません。あまり のめり込まない方がいいですよ。「分かった風なこと言いやがって 的外れだ!」と思われるかもしれませんが。

    おばさんの戯言とお聞き捨てください。
    ご指摘ありがとうございました。

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    青林

    Author:青林
    ”ベルサイユのばら”の二次創作サイトを作っています。ぜひ遊びに来て下さいね。

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    ただいま、コメントへのお返事は基本的にはしておりませんが、頂いたコメントは大切に読ませていただいています。ありがとうございます。

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