おれの気持ちー3-

    昼間 明るいうちになるべく人のいるところで オスカルと打ち合わせをして 
    二人きりにならないようにした。夜もおばあちゃんに頼んで部屋には行かなかった。
    それでもどうしても避けられない事態が起きた。ベルナールを逃がす事になったのだ。
    極秘のため見送りはおれとオスカルだけだった。
    ふたりを見送ると おれとオスカルは暗い道に二人きりになった。

    「アンドレ・・・いつもわがままをいって おまえにめいわくばかりかけてきた・・・
    わかっているのだよ おまえがいつも影のようについていてくれるからこそ
    わたしは思うままにうごくことができる・・・
    わたしひとりでは・・・なにもできない・・・」

    オスカルの言葉をおれは静かに聞いた。胸が詰まって 何も返事ができなかった。
    おれは黙ってお屋敷の方に歩き出した。オスカルも黙って付いて来てくれる。
    感動で胸が震えた。ぽろぽろ涙がこぼれる。
    あんな事をしたおれに こんなに優しい言葉をくれるなんて。どれだけ懐の深い良い女なんだ。
    おれはまた惚れ直してしまった。おれにそばにいても良いのだと あれほど謙虚に言われては。

    感激のあまりカンテラに火をいれるのを忘れていた。後ろを付いてくるオスカルとの距離を 
    十分取って止まったつもりだったがオスカルはおれにぶつかった。
    「ごめん オスカル 急に止まって」
    おかしいな。やっぱりおれ少し動揺してるのか。
    首をまわして後ろを見ると オスカルは おれの背中に顔をつけていた。
    ロザリーを嫁にやったのがやはり寂しかったのか。
    前なら向き直って 抱きしめてやるところだが 今のおれにはできない。

    「しゃがむぞ」
    おれがそう言うと オスカルはおれをグイッと下に引っ張った。
    驚いて転びそうになるのを辛うじて逃れた。
    しゃがんだおれの肩口から オスカルの白い顔が覗いた。
    ブロンドの髪がおれの頬に触れて 彼女のわずかな息遣いが間近で感じられた。
    胸が疼くような気がした。手が震えてなかなか灯が点けられない。
    落ち着けおれ。焦っていた。

    やっとの思いでカンテラに灯が付く。その暖かな灯を見て何故だか安堵した。
    「いくぞ」
    おれはオスカルを支えながら起こして 体が完全に離れる前に手を握った。
    オスカルの手の温かさがおれには嬉しかった。

    衛兵隊は本当に大変だった。けれど充実もしていた。苦労が大きいほどやりがいもある。
    おれはあれからオスカルに どんなにねだられても疑似恋愛の相手はしなかった。
    いやできなかった。もし今度オスカルを抱きしめてしまったら くちづけしてしまったら
    おれはきっと自分を抑える事はできない。
    ”アノトキ” 怯えるオスカルの顔に女を見つけ おれの情欲は高まった。
    そんなおれにおれ自身信じられなかった。おれの中にいいしれぬ魔物がいるようで怖かった。
    オスカルが怖がっているのに おれはあいつをさらに追い詰め 乱暴しようとしたのだ。

    ”もう戻れない。”

    おれの体に残っている”アノトキ”の感触がそう告げていた。
    神にかけて誓ったのだ もう二度としないと

    その分おれは仕事に打ち込んだ。そうする事でしかオスカルの役にたてない。
    とにかく 必死な思いでオスカルと二人で"ケツの青いがき"どもを相手に頑張った。
    ふたりで乗り越えたこの日々は 今まで以上に精神的絆を強くした気がした。
    おれはオスカルのそばでこれからも生きていける。そう感じ始めていた。

    (つづく)
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