エピソード8 考察 ー3ー ブレゲ

    池田理代子先生の作品の醍醐味は
    史実を先生らしくアレンジするところにあると前回お話しましたが
    ブレゲに関する記述もアレンジが入っており史実とは少し違います。

    こちらはブレゲ公式サイトの「No.1160」に関するページです。

    http://www.breguet.com/jp/ブレゲブランドは/マニュファクチュール/mariantowanetuto

    こちらにもあるように
    時計の注文をしたのは”謎の人物”とされています。
    この人物、私はフェルゼンではないかと思っています。
    そのことについて以前書いた記事はこちら

    http://seirinryokufu.blog.fc2.com/blog-entry-688.html

    史実では時計が注文された年、フェルゼンはフランスに居たのですが
    「ベルサイユのばら」のフェルゼンはこの時アメリカで熱病を患っていたんですよね。
    時計を注文できるはずないんです。

    そうなると、やはりエピソード8のように
    アントワネットさまが直接注文なさるのが自然な感じですよね。

    では、アントワネットさまはどんなお気持ちでこの時計を注文されたのか。
    これが今回のエピソード8の主題となっています。
    それについては次回お話するとして 
    今回はもう一人の重要人物ブレゲについてお話したいと思います。

    面白いのは、ブレゲは時計師としての情熱で
    時計を作り上げようとしていたのに
    完成時にはアントワネットさまが亡くなっていたにも関わらず
    「マリー・アントワネットNo.160」と名付けたこと。

    彼が時計を完成させるまでの19年間にどんな心境の変化があったのでしょうか。
    それをうかがわせるのが この時計が完成した1802年という年号。
    この年はあのナポレオンが「終身執政に就任した年」なのです。
    しかもこれは後継者の指名権がナポレオンにあることから事実上の世襲制でした。
    皇帝になるのはこの2年後の1804年ではありますが
    実際は1802年からナポレオンは皇帝同様、終生政権を握り
    その地位を自分の好きな人間に託せる立場にあったのです。

    さらに最後の回想で「1815年にレジヨン・ドヌール勲章を受勲」とあります。
    この「レジヨン・ドヌール勲章」をナポレオンが創設したのが1802年。
    けれど、ブレゲにこの勲章を授けたのはルイ18世なのです。

    アブラアン-ルイ・ブレゲ ブレゲ公式サイト

    これらのことは何を意味するのでしょうか?
    否、何を暗示しているのでしょうか?

    ブレゲは始め革命家のマラーと同じく仕方なく貴族に仕えていました。
    本心は

    「一人でも多くの普通の人々に 
    ぼくの発明した時計を手にしてもらいたい」

    でした。

    革命がおこり 彼は逃げるようにフランスを去ります。
    この時 追いかけていたのはべルナール(だと思う)
    ブレゲに逃げるように指示したのは マラー。

    その後今にも死にそうなくらいの情熱を込めて完成させた時計、彼の言葉を借りれば
    「私の発明のすべてが この時計にこめられている」程の時計に
    彼は亡き王妃の名を付けます。

    その時計の代金が支払われることがないことも
    その時計を彼女が手にすることがないことも承知の上で。

    完成の瞬間 王妃の面影がよぎります。

    始めは仕方なく 仕えていたはずの彼。
    時計の注文を王妃から受けた時も
    喜ぶどころか嫌そうな感じすらあったのに。

    何故?どうして?

    その問いかけの答えを 私はもっとはっきり
    池田理代子先生に描いていただきたかったと始めは思いました。

    けれど すぐに「これは読者自身が答えを考えなければいけないのではないか」
    と思い直しました。

    そう、この答えは読者それぞれに託されているのかもしれません。

    もしかしたら 考え過ぎかもしれませんが
    ”フランス革命とは なにか?” に通じる問いかけかもしれないのですから。

    私にはこの問いはとても難し過ぎて 納得のいく答えを出すことが出来ませんでした。
    それでも あえて答えるならば きっと後世に残るであろう時計に 
    忘れてほしくない人の名前を付けたのだと思うのです。

    あなたは この問いにどう答えますか?

    史実では完成することのできなかったブレゲですが
    エピソード8では見事作り上げることが出来ました。良かったですね。
    きっと実在のブレゲも自分の手で最後まで作り上げたかったことでしょう。
    疲労の色を濃くしながらも エピソード8のブレゲは満足そうな笑みを浮かべていました。

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