華やかな葬式9

    "すまない アンドレ、わたしはまた 間違えてしまったのだな"

    アンドレの胸の中で 自分を取り戻したオスカルはやっと落ち着いて考えることが出来た。
    彼の怒りはもっともだ。彼はこの雪の中 ロザリーを探し回っていたというのに 
    わたしはフェルゼンのところに行っただけで帰って来てしまったのだから。

    まただ、また感傷的になって判断をあやまった。

    やはり、自然に忘れられる日など待ってはいられない。

    そんな日がくるのであれば もうとうにきていたはずだ。

    こんなに長い事 思い続けて いまさらそんな日がくるはずはないではないか。

    "やはり きちんと 自分でケリをつけなければ"

    冷えていたアンドレの体も次第に温まってきた。
    それと比して 彼の怒りも収まったようだ。

    今はただ 温かく自分を包んでくれる。

    この温もりがあれば 他になにがいるのだろう?

    『はっはっは やっぱり女だねえ
    センチメンタルに なんぞ なってるから
    ドジをふむのさ!』

    もう センチメンタルになんかならない。

    男として生きてきて、これからも男として生きていく。

    そのために、わたしはこの恋に決着をつけよう。
    女性としてのオスカル・フランソワを心の奥深く沈めてしまおう。
    わたしにはアンドレがいる。彼がいれば大丈夫だ。

    これ以上 周りを困らせないために 
    アンドレを守るためにも 自分はこの恋の幕引きをしよう。

    でなければ、わたしもいつか 愛の狂気におちてしまうかもしれない。
    思いが狂気の域に達する前に引き返せるうちに 終わらせてしまおう。

    今なら まだ 美しい思い出にできる。

    華やかに 優雅に 美しく この恋を思い出の中に埋葬しよう。

    たった 一度の わたしの恋だったのだから…

    翌週、オスカルは華麗なドレス姿で舞踏会に出かけた。

    長い 長い 片思いの葬列は装飾を施した豪奢な馬車に揺られていく。
    式場は煌びやかなシャンデリアに照らされ
    参列者は華やかに着飾り笑いさざめき、葬送曲は心躍るメヌエットであった。

    この葬儀に涙を流したのは オスカルただひとり。

    片思いの相手にも 幼馴染にも 妹のように親しく思っていた女性にさえ、
    一言も漏らすことなく 一人で抱え続けた想いを

    女としてのオスカル・フランソワを

    この時オスカルは胸の奥深く埋葬した。

    その泣き濡れるオスカルの心音の近くで 
    アンドレが自分の代わりにと持たせてくれた懐中時計が
    そっと寄り添うように時を刻んでいた。

    FIN 

    「華やかな葬式」は今回が最終回です。
    お読みいただきありがとうございました。

    スポンサーサイト

    コメントの投稿

    非公開コメント

    sidetitle最新記事sidetitle
    sidetitleプロフィールsidetitle

    青林

    Author:青林
    ”ベルサイユのばら”の二次創作サイトを作っています。ぜひ遊びに来て下さいね。

    青林サイトへ

    ただいま、コメントへのお返事は基本的にはしておりませんが、頂いたコメントは大切に読ませていただいています。ありがとうございます。

    sidetitleカレンダーsidetitle
    05 | 2017/06 | 07
    - - - - 1 2 3
    4 5 6 7 8 9 10
    11 12 13 14 15 16 17
    18 19 20 21 22 23 24
    25 26 27 28 29 30 -
    sidetitleカテゴリsidetitle
    sidetitleリンクsidetitle
    sidetitle月別アーカイブsidetitle
    sidetitle検索フォームsidetitle
    sidetitleQRコードsidetitle
    QR