ドラクエ7 SS 「二人の力で…」<1>

    アルスがラーの鏡を覗くとそこには苦痛に歪むキーファの顔が映っていた?!
    「なぜ?…」
    魔王オルゴ・デミーラを前にアルスは混乱してしまった。
    「どうした?!何をぼんやりしているでござる!!!」
    アルスの前に立ち 刺さるように飛び交う氷の破片を 水鏡の盾に受けメルビンは叫んだ。

    「そんな…そんな…そんな!!!!!」

    戦闘中だというのにアルスは絶叫し はっと思い立った呪文を叫ぶ。

    「ギガジャティス!!!!!!!」

    空間が一瞬にして凍りつき アルスは光の中に飛ばされた。
    フワフワ どちらが上でどちらが下かも分からない。
    ただ、遠くで戦う自分と仲間達の姿が見える。ピクリとも動かず固まっている。
    それどころか、魔王の吐く息さえも中空で氷ついているではないか。

    (アルス…)

    心に直接キーファの声が響く。
    いや、今アルスは心だけになっているのだろう。
    体ははるかかなたにあるのだから。

    (アルス 聞こえるか?)
    (うん…)

    声のする方に視線をむけると そこにはやはりキーファの姿があった。

    (久しぶりだな)
    (うん)

    くすっ キーファが笑う。
    (なんだよ、おまえ そんなに普通に返事しやがって。
    相変わらずどっかネジが飛んでるよな)

    ははは…腹を抱えてキーファが笑う。
    それはアルスが昔から良く知っているキーファだった。

    ひとしきり笑うとキーファはふっと真顔になった。

    (なぁ アルス 話を聞いてくれるか?)

    アルスは力強く頷いた。
    それはどんなことでも受け入れるという何よりの証だと幼馴染のキーファにはわかった。

    (あの日の神の復活の儀式 あれはただの失敗ではなかったんだ…)

    神と魔王は長い争いを繰り広げ ともに力尽き永の癒しを必要としていた。
    時が満ち癒しの完了した神をユバール族は復活させる使命を帯びていた。
    それなのに復活を急いだため 癒しは完了しておらず 儀式は失敗したかに見えた。

    だが、そうではなかった。

    人の目には見えなかったが神はその輪郭をおぼろげに復活させていた。
    それは中身のない神の形をした殻のようなもの。
    それに魔王は飛びつき自身の復活の糧にしようとした。

    けれど 仮にも神である。そのままでは弾かれてしまう。中和剤が必要であった。

    (それが オレだったというわけさ)

    キーファはもともとあの時代には存在しえない異質のモノ。

    けれどなにもなければ 取り込まれることはなかった。
    引き金はジャンが引いた。

    大地のトゥーラの弾き手 踊り子 二つが揃わなければ儀式は出来ない。
    一族は飛び出したジャンを探し出し連れ戻そうとした。

    「いやだ!オレはライラが他の男の物になるのを見たくはない!」
    ジャンは激しく抵抗した。
    それでもなお 彼を無理に捕まえようとしたが 
    ジャンは隠し持っていたナイフを取り出した。

    「掟がなんだ! 言い伝えが 使命がなんだ!!!
    この世で結ばれないのなら いっそ…」

    ライラに飛びかかるジャンをとっさに突き飛ばしたのはキーファだった。
    けれど ジャンが倒れ込んだ場所がいけなかった。

    真っ赤な血しぶきが上がる。

    地面から突き出した石。

    その尖りがジャンの後頭部を突き刺したのだ。

    すぐさま 部族中の魔力の使い手が集められ ベホイミ ホイミの呪文が飛び交う。

    『おかしいな、もう全治しても良いくらい魔法をかけているのに』
    『早くしろ!彼に死なれたら 大地のトゥーラの弾き手が失われる!』
    『神の復活が叶わなくなる!』

    ― オレのせいだ

    ― オレのせいで 命が 神の復活が

    「ジャン!ジャン!」

    泣きながらジャンに縋っているのはライラ?

    ― どうして?君を殺そうとした奴じゃないか…

    ― そんな…

    ― これじゃ オレが悪者みたいじゃないか!!!!!

    ユバール族の為に ライラの為に 神を復活させるという崇高な使命の為に
    自分の全てを 地位も 国も 家族も 友人も 
    生きていた時代さえ捨てた代償がこれだというのか?

    『うわあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

    (つづく)

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