白ばらとアブラムシとテントウムシ-8-

    「まあいい。おまえが誰と付き合おうと勝手だ」
    ヴィクトールに言われてロミが顔を上げて見ると 彼は笑っていた。
    「せっかく 出てきたんだ。植物園に用がないなら カフェにでも行くか。ショコラでも飲もう。」
    「えーっ酒の方がいいですよ。」
    「まだ飲んだことないだろ ショコラ。酒はまた連れて行ってやるよ。」
    そう言うとヴィクトールはもう歩き出していた。慌ててロミは追いかけて
    「ところでヴィクトールさま。ショコラってなんです?」
    そう尋ねた。

    カフェでロミとショコラを飲みながら 
    ヴィクトールは窓辺に飾られた鮮やかな赤い花を眺めていた。

    "みんな 騙されているんだ。"

    あの人畜無害な能天気な笑顔に。あいつはそんな奴じゃない。
    獣の目をしてオスカルさまを見ているじゃないか。
    あれが奴の本性さ。いつか隙をついて食いつこうとしているんだ。

    "早く 偉くなろう。そうしてオスカルさまをあいつから守るんだ。"

    そう思う。けれど今はだめだ。自分は新参者で 奴は皆を上手く丸め込んでいる。
    自分に実績と立場がなければ たとえ相手が平民のアブラムシでも 
    王太子の寵愛とオスカルさまの信頼を得ているあいつをどうこうできはしない。
    それにロミの言う通り今すぐ何か起きるとは思えない。

    「ヴィクトールさま。どうかしました?」
    黙ったままの彼にロミが話しかけた。
    「まだ 怒ってます?」
    「いや ただ綺麗な花だなと思って」
    「ゼラニウムですか」
    「ゼラニウムというのか。」
    「虫よけになるのでよく窓辺に飾るんです。
    花言葉は"真の友情"特に赤い色は "君ありて幸福"」

    ヴィクトールは返事をしなかった。その代り ロミの額をこつんと軽くはじいた。
    「あっ い いたたぁ・・・」
    ロミは大げさに額を抑えた。
    ふふんとヴィクトールは頬杖をついて友を見た。その目はとても優しい。

    近衛入隊から3年遂にアブラムシを退治する時がきた。
    オスカルさまが連隊長になられ その副官に自分が選ばれたのだ。
    これからは オスカルさまのお傍でお仕えできる。その任務始めとして あいつを退治する。

    さあ、貴様の澄ました化けの皮をはいでやる。なあにたかがスケベ従僕。
    ちょっと 剣でおどせば ビビッてもうオスカルさまに手だしはすまい。
    これからはこのわたしがオスカルさまに付いているのだと分からせてやれば良い。

    近衛の練兵場でジェローデルはアンドレの来るのを待った。
    簡単なことだと思っていた。オスカルさまが戻られるまでには済むだろう。
    この時を待っていた。

    遠くにアンドレの無駄にでかい図体が見えた。
    初めて会った時よりアンドレはさらに背が伸びていたが 
    ヴィクトールもずいぶん背が伸びて もう子供じゃないと自分では思っている。

    近づいてくる"アブラムシ"にヴィクトールは声をかけた。

    「アンドレ君。待ちたまえ。」

    FIN

    サイトの”剣戟の狭間で”に続きます。ブログでは10月8日から連載いたします。
    次回はアンドレ目線の”アブラムシ君の憂鬱”をお送りします。
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