剣戟の狭間で-3-

    「ワアァァァァ~!!」
    歓声があがった。
    「さすがジェローデル中尉!」
    「いや~アンドレも頑張った。頑張った。」
    「それにしても面白かったな。」
    口々に今の打ち合いについて討論が始まった。
    ジェローデルはアンドレの手にハンカチを巻こうと取り出したが周りを囲まれた。
    アンドレも背中を叩かれたり肩を抱かれたりしている。
    アンドレはあまり嬉しくなさそうに引きつり笑いしながら右手を押さえている。
    指の間から血が垂れていた。

    「何の騒ぎだ。」
    「あっ 連隊長。惜しいことをしましたね。」
    「そうですよ。こんな凄い試合見逃すなんて」
    なぁと若い近衛兵たちは興奮醒めやらぬ様子で 
    いつもなら緊張してろくに近づこうともしないのにオスカルに話しかけた。

    「試合?」
    見れば青い顔したアンドレが手から血を流して 皆に小突かれている。オスカルはカッとなった。
    「どけ!」
    アンドレのまわりの兵士を蹴散らしオスカルはアンドレの手を取った。
    手の甲には横一線に切り傷ができていた。
    「大丈夫か・・・」
    「ああ心配ない。かすり傷だ。」
    アンドレはそういったが血はぼたぼた地面に血だまりをつくっていた。
    オスカルはハンカチを取り出すとアンドレの手を縛った。

    「誰がこんなことを・・・」
    オスカルの声にしだいに近衛兵たちの興奮が醒め 気まずい空気が流れ始めた。
    「何でもないんだ。ちょっと剣の手合せをしていただけなんだ。」
    アンドレは慌てた。オスカルの様子がただならなかったからだ。

    「わたしです。隊長。」
    ジェローデルが進み出た。
    「わたしが アンドレに無理をいって付き合わせました。」
    「貴様か。」
    オスカルの声が怒気を帯びている。
    「抵抗できない 弱い立場の人間をなぶるとはどういうつもりだ。」

    抵抗できない 弱い立場の人間・・・?

    「か弱い従僕に 暴力を振るうとは!」

    か弱い従僕・・・?

    「もういいんだ。もういいんだやめてくれ・・・。オスカルやめてくれ。」
    アンドレは蒼ざめている。口元がわなわな震えている。
    なおも何か言おうとしたオスカルをジェローデルの声がさえぎった。
    「隊長!アンドレを怪我させたのはわたしです。アンドレを医務室に連れて行きます。」
    ジェローデルは返事を待たずにアンドレの腕を取った。
    「待て!わたしが行く。」
    「いいえ。隊長わたしの責任でございます。隊長は司令官室でお待ちを。」
    有無をいわさぬ迫力にオスカルが一瞬たじろいた隙に ジェローデルはアンドレを連れ出した。
    こうなってはオスカルも後を追い辛くなってしまった。

    (つづく)
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